「ITトップが考えるモノづくり対談」と題したセッションに登壇したのは、ヤフー、LINE、DeNAと、日本を代表するIT企業の経営陣4名。それぞれがIT業界に身を投じたきっかけやサービス誕生の裏側に触れながら、モノづくりに対する考えを明かした。
「誰が勇気をもって飛び出すか」 IT業界の展望とは
――今のIT業界について、まずはお伺いします。1995年あたりから現在までの業界の変化を、どのように捉えていらっしゃいますか?
舛田(LINE) bitvalleyが盛り上がっていた時に私は学生だったので、「なんだこれは!」と外から見ていた側でした。すごい熱量で、お祭りのような熱気があって……。そんなカオス感のようなものに、これから時代が変わっていくんだろうなと感じ、憧れを持っていました。インターネットやITで何ができるのか、ということをすごく考えたんですよね。
今というのは、何か新しいアイディアというよりも、テクノロジーの進化や社会構造の転換などによって、その当時考えていたことが、ようやく実現されようとしている時なのだと思います。それがおおよそそのまま、この10年~20年くらいで各社がやってきたこと。
もうひとつ、ここ数年個人的な感覚も含めて感じているのが、インターネットの世界が狭くなってきたなと。GoogleやFacebook、ここにいる4社も含めてですが、プレイヤーが固定化されてきたこともあり、ユーザーを持っている面積も、動きがあまりなくなってきたように思います。これって、今までずっとワクワクし続けていたインターネットやITの世界の「きわ」が見え始めたのではないかと思うんですよね。そうなったときに、次に私たちがどこに行くのか、というフェーズがまさに今。これには、道がふたつあると考えています。
ひとつは、私たちがリアルのほうに染み出していって、今まで別々に存在していたネットとリアルを統合する。始まりつつある、OMOのような考えかたですね。もうひとつは、VRやAR、XRといった領域。土地がないならバーチャルの方向へ増やそう、ということです。このふたつの方向への動きが今まさに起こっている。スマホバブルが終わり、みんながこの次を模索している中で、ようやく次のパラダイムが広がり始めたなと思っています。
こういうものがあると、またカオスが生まれるはず。つまり、言葉を選ばずに言えばワンチャンあるんです。合理と非合理が混ぜこぜになるタイミングなので、何十年頑張っているからチャンスをつかめるというわけではない。大事なのは、誰が勇気をもって飛び出すか。今からとてもおもしろくなるはずです。