ワークショップへの関心を高めるコンテンツのデザインとは 実例をもとに制作や進行のポイントを解説

ワークショップへの関心を高めるコンテンツのデザインとは 実例をもとに制作や進行のポイントを解説
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 本連載では、ボトムアップで行動指針を策定するプロセスをご紹介します。オンラインワークショップなどを同時参加者が数百人を超える規模で、どのように参加意欲を高め、納得感を高められる成果につなげていくのか。ワークショップだけでなくその前後の時間軸も含めた全体的な体験デザインのノウハウを、ヘイ株式会社での事例を踏まえてステップ別に連載します。第2回は、「コンテンツ設計」がテーマです。

 はじめまして、ヘイ株式会社 People Experience デザイナーの瀧野です。

 第1回の記事では、「UXの期間」の視点をもとに、全社イベントの体験を4つの時間軸で整理し、設計を行ったことについてお話しました。第2回のテーマは「コンテンツ設計」です。ワークショップの「開催前」、「開催時」をそれぞれどのようにコンテンツとしてデザインし、届けていったのか。実際の事例をもとに、制作や進行のポイントを紹介します。

開催前:関心を高めるコンテンツをデザイン

 「開催前 ≒ 予期的UX」においては念頭においたのは、とにかく関心を持ってもらうことです。その上で、「ワークに取り組む際の助けとなるインプットを届ける」ことを軸に設計していきました。

会社の歴史にある裏舞台へのスポットライト

 まず、ワークに取り組む上で会社理解を深めるコンテンツとして、年表や過去の資料などを整理していきました。その上で見えてきた傾向が、heyの歴史は常に統合と変化そのものであるということです。

 経営統合に始まり、ブランド統合、クービックのジョイン、そして会社統合といった大きな変化が3年間のうちに起きており、その中で1人ひとりのメンバーが帰属や役割の変化をどのように受け入れ、進化していったのか。その変化の裏側にある出来ごとや感情を知ることは、今後もheyが変化し成長し続けていくためのバリューを考える際に、非常に重要な気づきになるのではないかと考えました。

 そこで、heyの「これまで」について「経営」、「現場」、「表舞台」、「裏舞台」のマトリクスで視点を整理。さらに「実際はどうだったの?」といったheyの歴史にある裏舞台と気持ちについて、それぞれの視点から理解を深められるような記事と動画コンテンツを届けていきました。

 上の図は、設計したコンテンツのマトリクスと実際に制作したインプットコンテンツのイメージです。個別のメンバーインタビュー記事は、文字起こししたものを社内のドキュメント管理ツール「esa」で公開。経営メンバーの座談会は動画収録したものを編集し、公開していきました。

開催直前に関心のピークをつくる

 UXにおいてピークエンドの法則が有効であると言われているように、イベントが始まるまでの間で、どのタイミングをピークに据えるかは設計において重要なポイントでした。

 どれだけ綿密に設計したコンテンツを届けても、参加するメンバー目線で「楽しい」と感じられるようなものがないと、参加するモチベーションにはつながりません。

 その中で、フルオンラインというバーチャル環境の中でも五感をともにできるような「楽しい」体験を通じて一体感を作りたいという思いが、プロジェクトメンバーの中にありました。

 フルオンラインの中で五感とカルチャーをともにする――。そんな思いから、「オールスターヘイBOX」と称して、heyの事業である STORES プラットフォームを利用いただいているオーナーさんのお茶やコーヒー、ナッツやチョコレートなどの商品を準備。それらをボックス化して届けることにしました。

 ほかにもサプライズグッズを詰め込み、イベント数日前にボックスを参加するメンバーの自宅に届けました。

ワークショップ数日前にお届けしたボックスのデザイン。
ワークショップ数日前にお届けしたボックスのデザイン。
経営メンバーの手書きメッセージは、フルオンラインの中で親しみと想いを感じられるようなものにしました。
経営メンバーの手書きメッセージは、フルオンラインの中で親しみと想いを感じられるようなものにしました。

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