Q.デザインで課題解決をするときには何が必要ですか?
――まず、深津さんはデザインをどのように捉えているかについて、教えてください。
大きく3つにわかれると思っています。ひとつは機能しないものを機能するようにする。つまり、使いづらいものを使いやすくしたり、事故が起きてしまうものを事故が起きないようにすること。今ある問題を解決することです。
ふたつめは、今はまだない概念を提起すること。30年後の未来をこうするためには、こんな仕組みがあるべきではないか、といったことです。
3つめは、技術や表現に新しい可能性を提示すること。現在のテクノロジーで建築の形が自由になったように、新しい可能性を拡張していく試みそのものです。
- 問題解決
- 問題提起
- まだ存在すらしていないものを提起する
すでに前例があるものは、どういった例があるのか、どんなパターンが成功しているのかを調べる必要があると思いますし、前例がない場合には、2~3パターン制作して試したり、失敗したときのことを考えた備えを入念にしておいたほうがいいですよね。3つめは、制約条件が少ないですし、まだ顕在化していないものを提起するので、それほどシリアスではない。こういった多少の違いはありますが、やらなければいけないことは、どれもさほど変わらないと思います。中でもいちばん多いのは、1の「問題解決」ですよね。
――では問題解決として良いデザインを作るときには、何が必要ですか?
まずは、何のためにデザインをするのか、ゴールはなにか、といった目的をしっかり意識しましょう。そして、それを明示化する。そして、絶えずそれがぶれていないかをチェックすることです。目的を無視してデザイナーが作りたいものを作っていたり、目的を決めずになんとなく作り始めてしまったりする人がとても多いように感じています。
そもそもなぜ目的を無視してしまうのか。それは、目的をしっかり意識していないからに尽きるでしょう。仮に目的がはっきりしていても、優先順位が途中であべこべになってしまうようでは意味がありません。どの過程であっても、目的に沿っているかを常に確認し続けること。これは必ず行わなければなりません。
――何をすれば、良いデザインや良い体験を作れるようになりますか?
たとえばモバイルサービスなら、まずは、iOSやAndroidそれぞれのガイドラインや、オススメと言われるようなUIやUXに関する本を読んでみる。そこでおさえなければいけないポイントを確認し、書いてあることを試してみる、というところから始めてみるのが良いのではないでしょうか。そして良いと言われているUIやUXを見て触って、なぜそこにボタンがあるのか、なぜそういう動きをするようになっているのかなど、良い部分と悪い部分の理由を考えてみる。そのときに、ガイドラインにきちんと準拠しているかどうかという観点から見ていくのも良いかもしれません。
つまり、一般的に良いとされているもの、悪いとされているものをまずは知る。次に、それを触ってみる。そして、それがどのように構築されているのかを理解する。この3点を行ったあとに、実際に真似して作ってみたり、自分でさらに手を加えてみたりする。この流れを繰り返していくと良いと思います。
- 知る
- 触る
- 理解する
- 真似する