デザイナーが抱えていた課題を全社で解決するために
――まずはおふたりのご経歴からお聞かせください。
水島 前職のDeNAではエンジニア色が強い仕事が多かったのですが、徐々にビジネスやプロダクトにも関わるようになり、最後はプロダクトマネージャーのような動きかたをすることが多かったです。ラクスルには2017年10月にプロダクト開発のエンジニアとして入社。前職と同様、ラクスルでもデザイン組織と関わりながらプロダクトづくりを行っており、現在はCPOをつとめています。またデジタル庁にもCPOとして携わっています。
和泉 僕は2021年5月にラクスルにいちデザイナーとしてジョインしました。前職は水島さんと同じくDeNAで、モバイルアプリやゲームのUI/UXデザインをしながら、デザイナー採用の仕事もしていました。水島さんからのお声がけをきっかけに副業としてラクスルと関わるようになり、2022年2月に正社員として転職。水島さんがもともと率いていた「デザイン推進室」のバトンを引き継ぎ、VP of Designとしてデザイン全体のマネジメントを担っています。と言いつつ、プレーヤーとしての仕事も2割ほど行っています。
――現在、ラクスルのデザイン組織はどのような体制になっていますか?
水島 デザイン組織は全社の組織として機能しています。ラクスルには子会社として立ち上げたものをふくめ4つの事業があり、デザイナーは全員がラクスルの本社に所属しながら、各事業にアサインされる(出向する)形にしています。
事業ごとにデザイナーを採用しても多くて2名ほどで、スタートアップのひとりめデザイナーのような立ち位置になります。そうするとなかなかそのデザイナーのキャリアに向き合うメンバーや相談相手がおらず、ノウハウも蓄積しにくい。そのため全社で組織をつくりマネジメントを行ったほうがポジティブな影響が多いと考え、現在の形態にしています。
ただ、以前は事業部ごとにデザイナーが所属する体制をとっていたのですが、先ほどお伝えしたような問題が顕在化してきたため、全社のデザイン組織を立ち上げてデザイン推進室を設置。現在はそれを和泉さんに引き継いだというのが体制の変遷です。
全社組織を立ち上げたのは2020年11月で、その後2021年2月にデザイン推進室をもうけ、目標やアクションを整理していきました。ただ実はその前にも「クリエイティブ部」という全社組織をつくったことがあったのですが、半年で解散。部としての存在価値の設計が難しかったんです。