「関係性」も重視するのがこれからのムード 誰よりもクリエイターなZ世代から見えたトレンドの兆し

「関係性」も重視するのがこれからのムード 誰よりもクリエイターなZ世代から見えたトレンドの兆し
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2023/01/16 08:00

クリエイティブにまつわる領域で、2022年の振り返りと2023年の動向を識者に伺っていく本コーナー。今回のテーマは「Z世代とクリエイティブ」です。昨今、トレンドの中心として注目を集める「Z世代」の価値観やSNS活用、そこから見えた新たなトレンドの兆しなどについて、around20(15歳~24歳)に特化したマーケティング機関「SHIBUYA109 lab.」で所長をつとめる長田麻衣さんに話を聞きました。

2022年のキーワードは「再現」 今後は“映えない”SNSも

――まず、Z世代の特徴や価値観についてお聞かせください。なぜ、今Z世代が注目されているのでしょうか。

Z世代の特徴は、やはり「SNSネイティブ」であることです。生まれたときからデジタル環境が成熟していたり、SNSでのコミュニケーションが当たり前であったことが、彼らの価値観に大きな影響を与えていると感じます。Z世代のひとつの特徴が、「体験から逆算した消費をする」という価値観。カフェでスイーツを食べたり美術館に行ったり、「こういう写真をとりたい」「こういった動画をあげたい」というところから、そのために必要なファッションなどを世界観にあわせて逆算して消費する。これを当たり前に行っているんですよね。SNSに投稿することを前提とした消費をしているところが、もっとも今までと異なっていると感じます。

グローバルでみると、人口に対するZ世代の割合が増えていくことから、彼らの消費の価値観に関心が寄せられていましたが、2021年の年末に発表された「ユーキャン新語・流行語大賞」で「Z世代」がランクインしたことが、日本で注目されるきっかけだったのではないかと思っています。
日本ではZ世代のパーセンテージは低いですが、10年後に彼らが消費の中心になっていくこと、また良いものを拡散したり盛り上げていくことに長けている世代であるからこそ、彼らならではのSNSの使いかたや消費への考えかたを捉えておかなければならないと感じる企業が増えたのではないでしょうか。

株式会社SHIBUYA109エンタテイメント SHIBUYA109 lab.所長 長田麻衣さん
株式会社SHIBUYA109エンタテイメント SHIBUYA109 lab.所長 長田麻衣さん

マーケティングの視点で言えば、Z世代に限った話ではありませんが、全員が注目するものがなくなり多様化している、つまり「マスがなくなった」ことは大きいと思います。「Z世代向け」という大きな主語で施策を考えると失敗するケースが多いのはそのためでしょう。

最近「界隈」というワードをZ世代の人たちからよく聞くのですが、それぞれの界隈で大切にされていることが少しずつ違います。現在のトレンドは、ひとつの小さい界隈をしっかりおさえ、そこの共感を得ていくことで周りにも伝播していく形でトレンドが作られるようになってきているため、よりニッチな熱いコミュニティを見ていくことがポイントだと思います。

――2022年を振り返って、Z世代のSNS活用に変化はありましたか?

コロナ禍を経て、SNSから生まれたトレンドを自分たちも「再現する」ことが基本的なスタンスになっており、それがムーブとして広まるという流れが主流になっています。

SHIBUYA109 lab.で2022年のトレンド大賞を発表しましたが、とくに顕著に表れていたのが「食」。カヌレであれば、「このお店でこういう画角で写真を撮ること」自体がトレンドとなり、それを再現しにお店に行ったり、スポンジケーキにデコレーションをして学校で楽しむ「JKケーキ」も、共通点は再現性があることでした。

出典:SHIBUYA109 lab.トレンド大賞2022
出典:SHIBUYA109 lab.トレンド大賞2022

また、SnapchatやBeReal.といった、映えるよりもリアルさに重きをおいたアプリを耳にすることも少しずつ増えてきています。映えるSNSも引き続き使っているものの、BeReal.のように、本当に仲の良い友達同士のクローズドな“映えない”SNSも、今の彼らの空気感に合っていると思います。

コロナ禍で彼らは、感染リスクを考え大勢で遊ぶなどはまじめに避けていたんですよね。それにより浅く広く仲良くすることが難しくなったため、本当に関係性が深い友達を大切にしようという流れがありました。そうなると「気心も知れているんだし映える必要もないじゃん」という思いから、お互い飾らない関係性でいられることを見せるツールとして、BeReal.などのアプリが使われるようになってきている。最近だと少しずつ、InstagramのストーリーズでBeReal.のスクリーンショットを見かけるようにもなってきましたし、Instagramなどでも自然に話している雰囲気をほかの人に撮ってもらうなど、深い関係性がわかる写真が「映える」の中にも増えてきましたね。