[新連載]GMOペパボのデザインリードが解説!デザイン組織が挑む、サービス課題への取り組みかたとは

[新連載]GMOペパボのデザインリードが解説!デザイン組織が挑む、サービス課題への取り組みかたとは
  • X
  • Facebook
  • note
  • hatena
  • Pocket

 2021年までは分権型の組織だったものの、2022年から集権型のデザインチームを立ち上げたGMOペパボ EC事業部。本連載では同社が開発・運営するSaaS型ECプラットフォーム「カラーミーショップ」のシニアデザインリードをつとめる山林 茜さんが、デザイン組織としての取り組みや、デザイナーの育成方法などについて解説します。

 はじめまして。GMOペパボ EC事業部のシニアデザインリードの山林(やまりん)です。シニアデザインリードとして、デザイン組織の運営や事業戦略にデザインを活用するための仕組みづくりをしています。ペパボはあだ名文化で、私は「りんちゃん」と呼ばれているので、みなさんも気軽に呼んでくださいね!

 GMOペパボはハンドメイドマーケット「minne」、オリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI」、レンタルサーバー「ロリポップ!」など、複数のインターネットサービスを運営しています。個人から法人まであらゆるクリエイターの表現活動を支え、創業20周年を迎えた今年は「人類のアウトプットを増やす」という新たなミッションを掲げました。

 私が所属しているEC事業部は、SaaS型ECプラットフォーム「カラーミーショップ」を運営しています。「ECで多様性を広げる」ことをミッションに、多くのネットショップ開設・運営を支援してきました。私自身も10年ほどデザイナーとして関わっている大好きなサービスですが、より良いユーザー体験を提供するうえで次のような課題を抱えていました。

  • ユーザー体験に一貫性がない
  • ブランドのあるべき姿の定義があいまい
  • デザイナーの採用・育成の課題

 一貫性がないサービスはユーザーへの認知や学習負荷を高くしてしまい、本来の業務支援サービスとしての役割を十分に果たせなくなってしまいます。

 今回はそれらの課題解決に向けて、私たち「カラーミーショップ」のデザイン組織がどのように取り組んでいるのかをご紹介します。

分権型から集権型へ、横断デザインチームの立ち上げ

 「カラーミーショップ」の組織は次のように目的別にチームが構成されています。

カラーミーショップのチーム構成図
カラーミーショップのチーム構成(イメージ)

 2021年までは各チーム1〜2名ずつの専属デザイナーが所属し、それぞれのチーム目標達成に向けて業務を進めるいわゆる分権型の組織でした。

 分権型はチームの連帯感や関わるプロダクトへの理解が深まり、開発の質やスピードを上げていくことができる反面、サービス全体のユーザー体験に一貫性がなくなってしまうことや属人化が課題でした。そこで、デザイナーが横断的に各チームの施策に関わり、ひとつづきの体験としてユーザーに提供できるよう、集権型の組織体制に変更しました。

デザイナーは分権型から集権型へ
デザイナーは分権型から集権型へ

 さらに横断的な視点を持ちながら質とスピードを上げるために、各デザイナーが得意とするスキルや領域に応じ、必要なタイミングで施策へアサインする仕組みにしました。ペパボにはデザイナーに必要なスキルを分類した「スキルエリアシステム」というものがあり、それらと各開発フェーズの対応を可視化することで、タイミングにあわせてどのようなスキルを持ったデザイナーが必要であるかを把握しやすくしました。

この図では便宜的に各エリアが排他的かつ明確にわかれているように描かれていますが、デザインとは全体性の強い行為であるため、実際の境界は曖昧で重なる部分もあります。
この図では便宜的に各エリアが排他的かつ明確にわかれているように描かれていますが、デザインとは全体性の強い行為であるため、実際の境界は曖昧で重なる部分もあります。
開発フェーズとスキルエリアの対応表(状況に応じて柔軟に対応しています)
開発フェーズとスキルエリアの対応表(状況に応じて柔軟に対応しています)

 デザインチームを立ち上げたのは2022年からですが、各デザイナーがチームや施策を横断することで、少しずつですが一貫性のあるサービスづくりができつつあります。

 一方で、1人ひとりのデザイナーが担う範囲が広がったため、なるべく負荷が高くならないような工夫も必要だと考えました。そこで、プロダクトデザイン領域とコミュニケーションデザイン領域にわかれ、ナレッジシェアやフレームワーク策定、デザインシステムなどによる効率化も同時に進めています。

 なかでもデザインチームが気をつけているのは、各目的別チームとの関わりかたです。「各チームに専属デザイナーがいないために気軽に相談できない」という状況を避けるために、窓口となるデザイナーを決めていたり、各チームのMTGに顔を出したり、といった工夫をしています。デザインチーム単独で動くことはほとんどなく、基本的には「各チームと一緒に取り組む仲間である」ことを認識してもらうために、スローガンを「with デザインチーム」と定め、事業部のメンバーに伝えています。

※この続きは、会員の方のみお読みいただけます(登録無料)。