デジタルの海に埋もれないコンテンツとは 博報堂 CREATIVE TABLE 最高・小島翔太さんが語る広告づくり

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2023/09/08 08:00

 最前線で活躍しているクリエイターに、これからの広告づくりについて話を聞く本コーナー。今回は、大塚製薬・カロリーメイト「部活メイト」やSMBC日興証券・「イチローシリーズ」や日清食品・どん兵衛のデジタル施策など、人の心を動かすコンテンツを数多く手掛けてきたクリエイティブディレクターの小島翔太さんが登場です。

「物語」のように、クリエイティブで人の心を動かしたかった

――まず、小島さんが広告づくりを目指すようになったきっかけをお聞かせください。

小さいころから「物語」が好きで、小説やマンガ、テレビ番組などで心を動かされる経験が多かったことから、自分も「物語」に近い仕事をしたいと思ったのが、広告やクリエイティブ業界を志したきっかけです。

一人っ子で両親も共働きだったため、いわゆる「鍵っ子」でした。小学校の夏休みなど長期休暇は友達との約束ができないと家にひとりでいることが多く、本やマンガを読んだり、テレビを見たりして数多くの物語に触れてきました。マンガの最終巻を読み、作品が終わって自分だけが作品の世界から離脱する切ない感覚など、物語に心を動かされる体験が多くありました。

大学生になり、いざ就職活動をするにあたって、そうした「物語」に近い仕事がしたいと考えました。せっかく人生の大半をささげるのだから、自分が楽しく感じられ、好きなことをしたい。そこで、人の心を動かす仕事である広告やクリエイティブの世界を志すようになりました。

――2012年に新卒で博報堂に入社されました。当初の配属先は希望していた領域と異なっていたそうですね。

私はもともとCMプラナーやコピーライターになりたかったのですが、最初の配属はプロモーションの部署でした。商品につけるおまけや、キャンペーンを考えたり、ウェブサイトやイベントの企画を立てたりする部署です。テレビCMなどで大きなメッセージを届けるよりもっとユーザーに近い仕事に携わっていました。自分ではクリエイティブがやりたいと思っていたのに、プロモーションの部署への配属が決まり、「どうすればクリエイティブに異動できるだろうか」と毎日考えていました。入社から5年目くらいまでは思い描いていたような仕事がなかなかできない期間でしたね。

もちろん、何もしていなかったわけではありません。当時は入社4年目のタイミングで、試験に受かればクリエイティブに異動できる制度がありました。最初の配属でクリエイティブになれなかった以上はこのクリエイティブ試験に受かるしかないと考えていたため、試験の1週間前から休みを取るなど綿密に準備をして本気で挑んだのですが、結果は不合格。本当に落ち込みました。

一方で「クリエイティブであろうがなかろうが、とにかく若手のうちから社外で実績をつくるしかない」と考え、外部のクリエイティブ関連のコンペに応募することも1年目からずっと続けていました。休みを返上し、作品を制作して応募していたのですが、なかなかすぐに結果が出るものでもありません。あまりにも結果が出ないことから「本当に自分の作品は審査されているのだろうか?」と疑っていました(笑)。

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