デザインシステムのはじめかた――事前に理解しておきたいポイントや構築のための5つのサイクルとは

デザインシステムのはじめかた――事前に理解しておきたいポイントや構築のための5つのサイクルとは
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 これまでさまざまな組織のデザインシステム構築や運用を支援してきたグッドパッチ。本連載ではデザインシステムにフォーカスし、その概要や歴史、導入から運用、構築にいたるまで網羅的にお届けします。第3回は「デザインシステムのはじめかた」についてです。

 こんにちは。グッドパッチのUIデザイナーの乗田です。前回の記事「組織にデザインシステムが必要な理由とは――その効果や価値を徹底解説」では、デザインシステムの必要性や効果、価値について解説しました。第3回ではデザインシステムを構築する前に理解しておきたいポイントや、デザインシステムの構築サイクルについて紹介します。

デザインシステム構築をはじめる前に

 デザインシステムへ取り組むきっかけとして多いのは、プロダクト開発で課題を感じている個人の活動から構築がスタートするケースです。この記事を読んでいるみなさんの中にも、個人や有志による少人数のチームでデザインシステムに取り組んでいる方がいらっしゃると思います。

 一方、デザインシステムの構築が組織の活動として昇華されている例はまだ少ないのが実状です。これまでの連載でお伝えしたように、デザインシステムには組織課題を大きく解決する力がありながらも、構築の取り組みが個人の域にとどまってしまうのはなぜでしょうか。

 その原因には、デザインシステムの価値を引き出すことができていなかったり、価値があっても組織への共有や訴求が十分にできていなかったりすることが考えられます。個人や有志によって構築されたデザインシステムが形骸化してしまうケースでは、「価値を届ける」という観点が不十分なことでデザインシステムが組織へ浸透せず、少しずつその活動にリソースを割くこともできなくなり、プロジェクトが終了する、ということが珍しくありません。

 デザインシステムは組織課題を解決するためのソリューションであることからもわかるように、個人の取り組みだけでは発揮できるバリューに限界があります。だからこそ本記事のタイトルにもなっているように、デザインシステムは組織のみんなで構築して育てる必要があるのです。

 それでは、デザインシステムを構築して価値を届け、それを組織の活動に昇華させるためには何がポイントとなるのでしょうか。今回は、構築プロセスに沿って紹介します。

デザインシステム構築に必要なサイクルとは

 デザインシステムを構築する取り組みは、構築と運用のフェーズが直線的に連なっているものでも、最後にゴールがあるのものでもありません。構築のためには次の工程を循環させながら徐々に深め、より良いものにしていく必要があります。

  1. 調査
  2. 計画
  3. 構築
  4. 適用
  5. 拡張
デザインシステム運用サイクルの図。調査、計画、構築、適用、拡張のフェーズを小さな単位で循環させながら、少しずつデザインシステムを深める必要性について紹介している。

デザインシステム構築のサイクル1. 調査

  デザインシステム構築に不可欠な「価値を届ける」という観点において、ソリューションを策定する前に、まずは組織の状態を見つめる必要があります。

 組織やそのメンバーが抱えている課題を分析し、デザインシステムを構築する際の戦略や実際のソリューションを導くのです。またこの時点で、課題をもっているメンバーの属性を把握しておくことが望ましいです。

 たとえば「エンジニアの開発効率低下」という課題解決を目的にデザインシステム構築のサイクルを回す場合は、エンジニアにとって活用しやすいフォーマットや表現のガイドライン、プロダクトに適用しやすい実装要件で構築されたライブラリなどが必要になります。

 デザインシステムを提供する対象のメンバーの属性を深く理解することで、ソリューションがより価値のあるものになります。「価値を届ける」ことを前提にする以上、「調査」は欠かすことができないフェーズです。

 より厳密に価値に向き合う必要がある場合や、課題に対するソリューションを適切に導き出すことが困難なケースでは、「バリュープロポジションキャンバス」や「価値仮説マッピング」を活用することでソリューションの確度を高めることができます。

バリュープロボジションキャンバスの例

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