サービスサイトの情報設計に役立つ、ユーザーニーズの発散から構造化までのアプローチとは

サービスサイトの情報設計に役立つ、ユーザーニーズの発散から構造化までのアプローチとは
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 2021年までは分権型の組織だったものの、2022年から集権型のデザインチームを立ち上げたGMOペパボ EC事業部。本連載では同社が開発・運営するSaaS型ECプラットフォーム「カラーミーショップ」のデザインチームが、デザイン組織としての取り組みやデザイナーの育成方法などについて解説します。今回は「ユーザーニーズの発散から構造化までのアプローチ」がテーマです。

 こんにちは。GMOペパボ EC事業部デザイナーの山川です。

 今回は、カラーミーショップのサービスサイトで取り組んでいる「コンテンツ管理向上プロジェクト」のなかから、プロジェクト初期段階の情報設計フェーズで、アイデアの発散から中間成果物に落とし込むまでの過程を紹介します。

1. プロジェクトの概要

 まずはカラーミーショップにおけるコンテンツ戦略の概要と、コンテンツ管理向上プロジェクトの目的について説明します。

1-1. カラーミーショップにおけるコンテンツ戦略

 サービスサイトがユーザーとのコミュニケーションにおいて重要なタッチポイントであることから、カラーミーショップのコンテンツ戦略は「状況に応じて適切なコンテンツを提供し、私たちが目指すコミュニケーションゴールへユーザーを導くためのもの」という考えかたが軸になっています。しかし、その達成のためにはいくつかの重要な問題を解決する必要がありました。

1-1-1. カラーミーショップのサービスサイトの課題

 当時、カラーミーショップのサービスサイトにおける主な課題は、「コンテンツ量の不足」と「情報の一貫性と継続性の欠如」でした。これらを解決することで、カラーミーショップの競争力強化や顧客体験の向上が期待されていました。

1-1-2. カラーミーショップのコンテンツ戦略の実行

 課題を解決するために、コンテンツ戦略の前半(Phase 0〜Phase 1)でコンテンツ自体の改善を行い、コンテンツ戦略の後半(Phase 2〜Phase 3)で改善されたコンテンツの構造化を実施。これにより、効率的な運用体制を整備しています。

 コンテンツ戦略後半の取り組みは「コンテンツ管理向上プロジェクト」と名付け、コンテンツの質と量を担保しつつ、サイト全体で適切に情報をつなげることを目指しています。これにより、「ユーザーが簡単に必要な情報にアクセスできるようになること」が期待できます。

1-2. コンテンツ管理向上プロジェクトとは

 コンテンツ管理向上プロジェクトは、個別のコンテンツからサイト全体の視点に戻し、コンテンツの構造化と最適化を進めることを目的としています。具体的な最適化の対象は次の3つです。

1.コンテンツ同士の関係性

コンテンツ間の接続を強化し、ユーザーがサイト内で情報を簡単に探し、回遊できるようにします。

2.データと表層の関連付け

データとその表層デザインを分離することで、ひとつのデータに対してさまざまな見せかたをすることが可能になります。これにより、状況に応じた最適な形でユーザーに情報を提供できるだけでなく、ひとつのソースを管理することで情報の更新や管理が容易になり、一貫性のある情報提供が実現します。

3. 表層デザインの整合性

サイト全体のデザインに一貫性を持たせ、視覚的にもユーザーフレンドリーなインターフェース、そして明確なブランドイメージを提供します。

 メンバーは、事業部を超えたさまざまなメンバーで構成されており、その多様な視点と専門知識を活用しています。私はフロントエンドの開発を担当し、2024年1月からはプロジェクトのリードも兼任しています。

 このプロジェクトにより、サービスサイトがカラーミーショップとユーザーをつなぐ重要な架け橋として機能し、両者に大きなメリットをもたらす魅力的なプラットフォームになることを目指しています。

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