社内横断勉強会を盛り上げるためにトライした5つのこと
ここからは再現性の有無はいったん脇に置き、いち社員発のこういった取り組みが上手くいった要因を自分なりにまとめてみます。
1. スタンスの明確化とアジェンダの予告で期待値調整
私は中途入社で在籍年数は1年ほどのため、社内でも知らない人が圧倒的に多く、いきなりよくわからないデザイナーが主催するワークショップに参加したいと思える人は少ないと思いました。
そこで、「FigJam を社内でもっと広めたい!」「社内利用をもっと広めていき隊」といったわかりやすいラベルを自分につけながら広報することに。これにより、ほかの会社のイベントやオンラインMTGで初めて会う方々から「あ、FigJamの人だ」などと認知してもらうようになり、今回の FigJamワークショップだけでなく、そのあとに自分のみで行った Figmaワークショップなどにも、たくさんの人に参加してもらうことができました。
また、楽しみにして来てくれた方の時間を無駄にしないために、事前にFigma 社の方と打ち合わせを行ってアジェンダを作成。参加募集の段階でラインナップを公開し、参加者の期待値調整ができるようにしました。
2.ワークショップは参加しやすい時間帯に
DMMの社員のなかには、仕事とプライベートを切り離してメリハリをつけたい人、家庭と両立しながら制約内で仕事をされている人も多くいます。そのため、業務時間内のお昼ごろを開催時間の中心にしました。
部署によっては参加できる余裕のない時間帯かもしれません。しかし、業務時間外だと物理的に参加が難しいけれど、業務の合間を縫ってでも聞きたいといった熱意のある人が参加する機会を生めたのではないかと思います。
結果として、2回とも 30~40名のメンバーが参加。会社へバリューを出せる内容を選定・提供できれば、このような時間帯での勉強会も可能だと感じました。
3.耳だけの参加も歓迎 当日飛び入りも可能に
FigJamに興味のないたくさんの人に興味を持ってもらいたかったので、ワークショップと言いながらも、幅広い層に参加してもらえるよう、次のポイントを取り入れました。
- 耳だけ参加可能:忙しいメンバーでも気軽に聞きに来れるようにする
- 当日飛び入り可能:柔軟に、事前予約なしでも参加できるようにする
これらの工夫により参加のハードルが下がり、より多くのメンバーが参加しやすくなったのではないかと思います。
4.発信しやすくするために、SlackでFigJamチャンネルを作成
1回目のワークショップを実施後かなり大盛況だったことから、 FigJamチャンネルも作成しました。チャンネルの参加者は5月の半ばに作成してから半月後には40名以上になり、現在では60名以上が参加しています。
当初は、ワークショップの告知やニッチで便利な機能紹介などをこまめに発信していたのですが、次第にチャンネル参加者同士で機能の相談をしたり教え合ったりするようになり、定期的にFigJamの話題で盛り上がる雰囲気になっていきました。それだけFigJamやその活用方法に興味のある人が多いことを実感しています。
5.もっとFigJamを知りたい人のために“お土産”を提供
ワークショップを開く際の定量目標が「社内のFigJamライセンスを契約するチームを少しでも増やすこと」だったため、ターゲットをざっくりと定めていました。
- メイン : 気になっているが具体的なアクションができていない人
- サブ1 : まったく知らなかったが現ツールと気軽に比較したい人
- サブ2 : 使っているが使いこなせていない気がする人
もちろんワークショップだけでは、これらのニーズ・ペインを抱える人に「ライセンス購入」といった行動に移してもらうことは難しいと思います。そこで“お土産”ドキュメントを用意して、ターゲットにあたるメンバーがワークショップでモチベーションが高まったあとに、アクションを起こしやすくすることを目指しました。
「料金比較」や「FigmaとMiroの機能はどう違うの?」「うちのチームでもFigJamを使ってみたい!」といった意見も想定し、ワークショップに参加してくれた人の属性に合わせた軽い読み物を用意しました。
暇を見ては継続的にコンテンツを追加し、次のコンテンツを展開していきながらSlackのFigJamチャンネルからも動線をつくっています。
- 実例で学ぶ FigJam 活用(新卒研修資料として作成)
- Figma と Miro の機能はどう違うの?
- FigJam と Miro の料金比較
- Miro のデータを FigJam に移行したい
社内横断の勉強会成功を通して得た気づき
私はこれまで紹介した2回のワークショップや、自主的に企画したいくつかの勉強会を通して、「難しい」と言われる社内横断の勉強会を成功させるためのたくさんの学びを得ることができました。自分なりの考えをまとめて、紹介したいと思います。
個人的動機や熱狂が大切
しっかり取り組むのであれば、会社にとってバリューがある設計は必要になるでしょう。しかし、最初は個人的な動機がきっかけでも問題なく、勉強会の訴求や設計次第で、会社にとって嬉しい結果にリンクさせることができる、ということです。今回は、ツールの最適化を推進しようとしていたVPoE室にも応援してもらい効果測定まで行えたりと、双方にとって良い結果につなげることができました。
無理せず持続可能なロングマラソンで
2024年5月〜6月にかけてFigJamワークショップを企画し進めていましたが、今はPO(プロダクトオーナー)として自身が関わるプロダクトに注力している時期だったりします。個人で企画する場合は、必ずしも機械的に続けていくことが正しいわけではなく、形骸化してしまうことでせっかくのモチベーションを下げる可能性もあります。
それを避けるためには、定期的に負担のない範囲で楽しく続けることがコツだと思います。勉強会の習慣を絶やさないためには、前述した動機と適度な熱狂、そして次に述べるコミュニティが必要だと考えています。
チャンネルでコミュニティを形成
動機があって熱狂した人々がいれば、あとはそういった人たちが集まれる場所づくりが必要でしょう。仕事が忙しいなかでも知識や技術のアップデートが不可欠であることは、誰もが感じているはず。Slackのチャンネルのような場所があれば、勉強会という形でなくても有益な情報を共有するコミュニティとして機能させることができます。
このワークショップでは、日常の横断チームの業務でも生かしていける学びが多く含まれていました。今後も引き続き「自分も組織も嬉しい」勉強会やコラボレーションの機会創出に貢献していければと思っています。