デザインを取り巻く機運の変化、どう感じてる? 5周年を機に、JDNの編集者とざっくばらんに話してみた

デザインを取り巻く機運の変化、どう感じてる? 5周年を機に、JDNの編集者とざっくばらんに話してみた
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2024/11/05 08:00

 2024年10月31日にメディア本オープン5周年を迎えたCreatorZine編集部では、デザイン情報サイト「JDN」、求人サイト「デザインのお仕事」、進学情報サイト「デザインノトビラ」などで編集を担当するお三方と座談会を実施。編集者の視点で、「デザイン」にまつわる機運の変化などについてざっくばらんに語りました。

JDNのコンテンツでも欠かせない要素になった「ストーリー」

中村(CreatorZine) まずは皆さんのご経歴から教えてください。

石田(JDN) 大学で金属工芸を専攻しており、新卒のときはその流れを汲んだ会社に就職したのですが、そのあと縁がありJDNに入社。現在10年目を迎えます。今年からマネージャーとして全メディアを統括していますが、デザイン情報サイト「JDN」の主担当として、取材やインタビュー、JDNに掲載される全コンテンツのチェックなども引き続き行っています。

株式会社JDN 石田織座さん
株式会社JDN 石田織座さん

岩渕(JDN) もともと空間デザインを学んでいたのですがデザイナーは向いていないと感じ、新卒時は営業として広告代理店に入社しました。退職後に結婚、出産を経験し改めてキャリアについて考えたときに、もう一度デザイナーを目指したいと思い空間デザイン・設計事務所に入ったのですが、そこでもデザイナーではないと再度痛感(笑)。そんなときにJDNの求人広告を見かけ、こんなデザインへの関わりかたがあるのかと思い転職しました。アルバイトと正社員の期間をあわせると現在9年目。担当はデザインやクリエイティブに関わる人のための求人サイト「デザインのお仕事」です。

萩原(JDN) 大学では人文学を学んだのち、新卒では事務の仕事に就きました。その労働環境が合わず転職しようと思ったときに、人文学のなかで芸術や写真に関わる学びが好きだったことを思い出したんです。そうしたクリエイティブな領域で仕事をしたいと思い、編集プロダクションに入社。そこで5年ほど紙やウェブ問わず、取材、執筆、編集といった一連の業務に携わりました。当時はジャンル問わず取材していたのですがより分野を絞ろうと思い、デザインにフォーカスしているJDNに転職。それが昨年の4月です。現在はデザインに特化した進学情報サイト「デザインノトビラ」を担当しています。

中村 新卒で入社した銀行、社員4人ほどのITベンチャー企業を経て、クリエイティブ関連の教育事業会社「デジタルハリウッド」に入社しました。社会人向け専門スクールで受講生募集に関わったあと、クリエイターを目指す受講生の背中を押すだけでなく、私自身もずっと好きだった文章を書くことを生業にしたいと思い、編集未経験ながら翔泳社に転職。EC事業者向けのウェブメディア「ECzine」編集部に配属になりました。1年ほど経ったある日、前職で多くのクリエイターさんと接してきたこと、クリエイティブの可能性を感じていたことなどが重なり、クリエイター向けのウェブメディア「CreatorZine」を起案することに。2019年の本オープン以来、CreatorZineに掲載される記事の企画や取材、執筆、編集、イベントの企画など、ライティング以外は基本的に全コンテンツを担当しています。

早速ですが、デザインメディアに編集者として携わるなか、皆さんはどんな変化を感じていますか?

石田 入社した2014年当時はJDNがリニューアルを行う前でした。「イス」や「照明」といった素敵なプロダクトを紹介することで、とてもざっくり言うと「デザインはかっこいい」ということを伝えるのがコンテンツの中心だったように思います。しかしそこから時が経つにつれて、モノの紹介だけではなく、その背景にあるストーリーも交えて紹介するようになっていきました。

2014年当時のJDNのサイト
2014年当時のJDNのサイト

実際にプロダクトを購入する人も、その物語もふくめて検討することが当たり前になっていきましたよね。グッドデザイン賞で、モノよりも「サービス」や「プロジェクト」の受賞が増えてきたことも「ものからコトへ」の表れだと感じています。

岩渕 2023年度のグッドデザイン賞では、審査員長をつとめる齋藤精一さんより「アウトプットとしてのデザインだけではなく、デザインを生み出すプロセスや、創造の根底にある様々な哲学や挑戦を読み解くことを意識してきました」とのコメントがありました(参考記事)。「このストーリーがあるからこそ、こういうアウトプットになった」ことが伝わる製品の増加は、私も実感しています。

株式会社JDN 岩渕真理子さん
株式会社JDN 岩渕真理子さん

萩原 デザイナーの仕事は造形的な部分で力を発揮する印象が最初あったのですが、実際に取材をしたりデザイナーの方とお話をしたりするなかで、やはり社会問題に対しての意識が高いと感じています。印象的だったのが、見本市の取材でデザイナーの方が「ものをつくって終わりではなく、その先まで責任をもつことが必要」とおっしゃっていたこと。今SDGsもひとつのキーワードになっていますが、社会に対し「プロダクトに責任を持つ」という意識でデザインをされているのだと実感しました。

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