デザイナーの評価制度や他職種との連携フローの整えかた 「キャリア構築」と「企業成長」の両立を目指して 

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実際にデザイナーはどう目標設定を行い、評価がなされているのか

 では、実際の目標設定と評価はどういったものになっているのでしょうか。

 スマートキャンプのデザイナーは少数精鋭で、ウェブページやバナー、チラシなどといったデザイン制作業務だけではなく、「各事業のMISSION策定プロジェクトのためのワーク設計と推進」や「web解析ツールを活用した数値分析および施策提案」など幅広い業務を担当しています。

 業務遂行にあたっては、他職種との連携を最適化するために、Figmaを活用した連携フローの構築も積極的に行っています(参考記事)。

 上記のように、デザイナーならではの知見を活かし、他事業と協業して事業をドライブさせる部分での寄与が事業側からは大きく期待されており、事業部側からは「事業の目標を達成するため」の役割が期待されています。

 デザイナーの目標設定は「各事業の事業責任者」「デザイン組織上の上長」「事業の担当デザイナー」の三者で実施。事業責任者は達成目標と期待値を共有し、デザイン組織の上長からは「デザイナー個人のサクセス」を共有します。これらをすり合わせた上、なるべく定量化した目標を担当デザイナー自身が設定。この際、「デザイン組織のサクセス」の要素も含めたものになるよう、デザイン組織側で調整を行い、三者が設定された目標の共通認識で持つようにします。

 目標の進捗は、毎月1回の面談で共有され、事業側とデザイン側の双方から担当デザイナーに向け、達成のためのフィードバックを実施。おもな評価軸は所属事業の目標達成と成長への寄与ですが、それだけでなく、デザイナー本人の希望とデザイン組織の強化も加味し、三者が納得する内容を評価に組み込んでいます。

ネクストアクションとして考えていること

 紹介した評価制度を運用し約2年が経過し、さらなる最適化を目指し、ふたつのネクストアクションを考えています。「デザインスキル中分類の見直し」と、「デザインスキルスコア制度の導入」です。

 「デザインスキル中分類の見直し」に関しては、設定当初はデザイナーの人数に対して中分類を細分化させすぎると、被評価者側も評価に入ってもらうノンデザイナーの事業責任者側も理解しにくくなる懸念があったため、あえてやや大枠で分類していました。しかし、実際に制度を運用してみると、おおざっぱすぎて評価しにくい場面や、グレードの定義も不正確な部分があることが明らかになりました。

 そのため、増加させた中分類に合わせた「デザインスキルスコア表」を設定し、デザインスキルをある程度数値化することで、これらの問題を解消したいと考えています。

構想段階のデザインスキルスコア表

 また、このデザインスキルスコア表によってデザインスキルをある程度数値化することで、想定グレードに必要なスキルスコアも定量化され、その差分と伸ばすべき箇所が明確になるはずです。これにより評価制度を納得感がありながらも、モチベートできるものになるではないかと考えています。

おわりに

 今回の記事では、スマートキャンプのデザイン組織の評価制度と連携フローの取り組みについて紹介しました。これからも成長を続けるなかで私たちは、「デザイナーの成長が企業の成長に直結する」組織づくりを目指していきたいと考えています。

 さまざまな変化が起こることが予想されますが、ビジネス部門とデザイン部門の双方向でコミュニケーションを取りながら、お互いの成長を促すような納得感のある評価制度にブラッシュアップしていく予定です。

 全3回にわたる連載は本記事で終了となります。ご覧いただき、ありがとうございました。