2社のシナジーで目指すのは「制作環境の整備」
――第1弾では「ごっこ倶楽部」とショートドラマ作品『トリッパーズ』を制作されましたが、どのような気づきがありましたか?
@trippers_drama あなたは悪口をどう受け止めますか? #トリッパーズ #ごっこ倶楽部 #BUMPドラマ #au #松竹 #ASCREATIONPROJECT #ショートドラマ #短編映画 #短編ドラマ #ドラマ #ドラマティッカー #WEBREEN @gokko5club 【製作】 ショート動画支援プロジェクト 「AS CREATION PROJECT」au×松竹ベンチャーズ×STUDIO GOKKO 「トリッパーズ」第4話 [メインキャスト] 小島藤子 宇垣美里 @daiki_watanabe @seri_shirakawa @ayu__kamata @ryuma_tanizawa @soshi_tjm4869 @suzuki.hirofumi @hirohito_ishibashi 宮地真緒 金子昇 [監督] @gokko5kantoku [原作・脚本] @so_kaieda ♬ オリジナル楽曲 - ドラマ【TRIPPERS】公式 - TRIPPERS
小林(松竹) 映画だと多くの時間をかけて制作しますが、物の配置やロケーション、編集のスピード感など、縦型ショートドラマでは制作方法が大きく異なることを実感しました。
また、我々が長年キャスティングにおいて常識としていたことにとらわれずに、スタートアップの方たちが企画を進めていくのはとても刺激的でした。一方、タレントの事務所側はと言うと、ショートドラマへの準備はしているものの、どのように向き合うかを決めかねている過渡期でもあるでしょう。今までの常識の枠を超えているようなスタートアップ企業からの依頼が、ときには多少の反発を生むこともあるかもしれませんが、それが古い風習を吹っ切るための起爆剤にもなりうるのではないでしょうか。
古波蔵(KDDI) 実際に公開した動画では、100万回再生を超えるコンテンツもありました。既存ではなく、いちから立ち上げたアカウントでこれだけ再生回数が伸びているので、一定の手ごたえは感じています。スタートアップをはじめとした企業さんから、「こういうことはできませんか?」と提案をいただく機会も増えましたね。
――2社が組んだことにより、どのようなシナジーが生まれるのでしょうか。
古波蔵(KDDI) TikTokやYouTubeのような無料のプラットフォームでは、コンテンツが豊富にあり視聴されやすい一方、収益化が簡単ではありません。基本的に作り手は再生回数に応じてマネタイズする方法がベースとなるため、収益モデルとしては不安定な部分もあります。ユーザーの可処分時間はこうしたプラットフォームでの視聴に使われていますが、プロデューサーや作り手側の土台はまだまだ整っていないと言えるでしょう。KDDIと松竹さんの支援によって、こういった部分にテコ入れができればと考えています。
海外市場では、有料のVODサービスなどから大きな資本が入ったうえで、コンテンツをデジタル向けに制作するといった流れが増えてきている印象です。一方、日本国内のクリエイターは、おそらくこうした制作環境が十分に整備されていない。「AS CREATION PROJECT」での支援によって、誰もがクオリティの高いコンテンツを作れる社会を実現していきたいと思っています。
やり続ける「体力」も求められるなか、スタートアップの背中を押す「覚悟」
――最後に、今後の目標についてお聞かせください
古波蔵(KDDI) 今はまさに、映像体験の拡張期にいると感じています。「コンテンツの切り抜きをショート動画プラットフォームで配信する」ところから、「SNS前提でコンテンツを作る」時代がきています。
我々KDDIとしては、このようにスマートフォンが主戦場になる時代で、コンテンツの“制作”にも深くかかわりたいと考えています。私たちの作品への関わりかたとして、これからはコンテンツの作り手にもなることができる。クリエイターの支援を通じて、業界を盛り上げていく一役を担っていきたいです。
森川(松竹) このプロジェクトを通して勢いのあるスタートアップが育っていく「登竜門」のような存在になれたら嬉しいですね。本当にコンテンツを作りたいクリエイターが、すぐにでも制作ができる環境も整えていきたいですし、生まれたコンテンツが、映画になっていったり、グループのIPとして育っていったりといった未来も想像しています。そのためにも、我々が今持っているアセットを活用して、こうしたポテンシャルを広げていけたらと思っています。
小林(松竹) 新しいジャンルが登場したときに「ちょっとよくわからないから」と距離を取るのか、「まずやってみよう」と挑むのかで、企業の進化は大きく変わると考えています。もちろん1年間取り組んでみても、中国で大ヒットしたようなコンテンツは生まれないかもしれません。そのためには100本打って、1本当たるまでやり続ける「体力」も必要になるでしょう。ですがだからこそ、「最初の一歩を踏み入れる覚悟」が、スタートアップの人たちの背中を後押しすることにもつながっていくはずです。
また企業都合のやりかたではなく、「ヒットしたら再生数に応じていちクリエイターごとに0.01円入ってくる」というような、制作に関わる人たちがロマンを感じられる仕組みも整えていければと思っています。出資者だけが利益を得られる構造でなく、作り手や役者にもしっかり分配できる。そんな仕組みづくりも同時に行っていけたらと思っています。