活躍している人の共通点は? LINEヤフー/SmartHR/マネーフォワードが語るデザイン組織の本音

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2025/08/19 11:00

今後求められるのは「豊かな問いを立てること」 生成AIの見解や組織の展望は?

――最後に、デザイン組織にとっても避けてとおることができない「生成AIとの向き合いかた」などふくめ、今後の展望についてお聞かせください。

町田(LINEヤフー) 試行錯誤をしながら、上手く生成AIを使いこなせる組織にしていきたいですね。現在はいろいろと試しながら、効率化と品質の両面でどのように生成AIが役立つかを評価しているところで、人間の作業工数が、生成AIツールによってどれくらい減らせるかを可視化するための取り組みも始めています。各事業組織と横断組織の連携をするうえでも、生成AIを“仕組み”として組み込んでいけたらと思います。

ただし、根底にあるのはもちろんユーザーファースト。それをいちばんに考えながら、デザイン組織として生成AIの活用にも向き合っていきたいです。

セルジオ(マネーフォワード) 生成AIに関して言えば、リサーチの分析プロセスを短縮したり、プロトタイピングを自動で出力できるようにしたりといった実践レベルでの活用は進んでいますが、組織として画一的な適用はしていません。プロダクトによって使いどころは異なりますし、生成AIの影響はデザインだけにとどまらないからです。デザインのいちプロセスを短縮するだけではなく、開発プロセス全体やコミュニケーション、マーケティングといった広範囲での活用法を考えるようにしています。

そんななかで僕は「最高のプロダクト開発組織」を目指したいと思っています。デザインだけでなく、プロダクトやブランドとして価値を届けるところにコミットしていきたい。そのためにはデザイナーを取り巻く環境は歴史的に大きく変化している今だからこそ、これまでのデザイナー像にこだわらない、職種の壁が溶けていくようなアップデートが必要だと考えています。それをみんなで楽しみながら進化していきたいですね。

宮原(SmartHR) 現在プロダクトデザイン組織では生成AIを「エンジニアリング領域に参画するための障壁を下げる」目的で活用することを推奨しています。最近ではプロダクトの数が増え、開発チームごとにアーキテクチャやフレームワークも異なりますが、AIを使ってプロダクト仕様をキャッチアップしやすくしたり、開発環境の構築にAIを活用したりすることで、デザイナーが開発に関わりやすくなったように思います。

また本格的にAI活用に向き合うために、2025年から「プロダクトデザイン企画室」を新設。デザインシステムにおけるAIの立ち位置などを探っているところです。

今後の展望として、攻めの部分では「魅力品質をつくる」ことに取り組んでいきたいです。ユーザーの業務を破壊し、新たなスタンダードを生む組織を目指していきたいですね。守りの面ではベーシックな部分、とくにデザイナーのイシューとして閉じてしまうことが多いユーザビリティの品質などは開発組織全体の問題として扱えるような仕組みをつくれたらと考えています。

もちろん、採用にも力を入れています。生成AIが登場したから人が不要になるかというと、そうではない。豊かな問いを立てることは、デザイナーにとっていちばん価値の高い仕事だと思っています。そのためデザイナーには、「ユーザー業務のどこを解決すべきか」「それが解決したらユーザーの行動がどう変わるか」といった問いの設計にチャレンジしてほしいと思います。

町田 問いの設計を熱量高くできることも大切ですよね。

セルジオ それは先ほど宮原さんがおっしゃった「怒り」ともつながりますね。怒りという熱量があるから問いを立て続けられますし、熱量のない問いは難しさを言いわけに途中で放り出されてしまう。人が抱く“本当の”熱量が必要なのだと思います。

――皆さん、ありがとうございました!

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