「10年後も生き残るデザイナー」とは
樋田氏は、デザイナーがチームで活躍するためには、次の3つのポイントを認識しておくことが重要だと講演をまとめる。
ひとつはデザインする対象がどんどん複雑化しているということ。デザイナーがひとりで完結できる業務は少なくなっているとし、それを自覚した上で「孤高のスペシャリストからチームに貢献できるデザイナー」へ変わらなくてはいけないと指摘する。
ふたつめは、アジャイル型の開発プロセスによって、デザインは常に未完成になった、ということだ。これにより、そのデザインが正しいかどうかは、製品やサービスをリリースしてみないとわからないという状況になるため、常に変化しながら進めていくことが求められる。その際に、さまざまな職種のメンバーと協力しながら柔軟に対応することはもちろん必須だ。
最後に樋田氏があげたのは、「デザイナーがプロダクトマネージャーやエンジニアなどの職種の境界が曖昧になってきている」という点。デザイナーがモブプログラミングでエンジニアと一緒にコードを書く、エンジニアがデザインをする、といった動きが増えている中で大切なのは、「デザインの領域を明確にする」のではなく「境界を超えていく、または壊していくこと」だと樋田氏。
これらをふまえ、チームにとって不可欠なデザイナーを次のように定義し、セッションを締めくくった。
「必要とされるデザイナーになるために大切なのは、『チームのために変わることができるかどうか』だと思っています。10年後どうなっているかはまだ自分にはわかりませんが、私が10年後もチームにとって欠かせない存在になっているとすれば、それはチームのために変化できているということ。それを続けられるデザイナーが、チームにとって必要な存在なのではないでしょうか」