クラスメソッド、ベイジと資本提携しデザイン領域を強化 デザイン組織の本格的な立ち上げを目指す

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2021/09/29 09:30

 クラスメソッとベイジは、デザイン領域を中心とした協業を目的に資本提携したことを発表。この資本提携により、ベイジはクラスメソッドの関連会社となる。

 またベイジ代表の枌谷氏をCDO(Chief Design Officer)としてクラスメソッドに迎え、クラスメソッドはデザイン組織の本格的な立ち上げを目指す。デザイナー採用も活発化し、2024年までに30人規模のデザイン組織の構築を目指していく。

資本提携の背景

 この10年、ビジネスシーンにおけるデザインの位置付けが大きく変化した。デザインの対象はもはや視覚表現やUIに留まらず、経営のあらゆる分野を含むようになっている。UXやデザイン思考という用語をビジネスパーソンが使い、経済産業省がデザイン経営を宣言し、デジタル庁がUI/UXに言及する。これらすべてが、デザイン市場の拡大を示している。

 歴史的に見れば、大きな変化が起きた後にデザインの重要性が高まる傾向にある。2010年前後には、iPhoneを起爆剤とするスマートフォン革命があった。SNSや動画が一般化し、人々のコミュニケーションは大きく変わった。この大きな変化が、2010年代のデザイン市場の拡大に影響を与えている。

 そして2020年、コロナ禍によって生活様式は大きく変わり、それまでの多くの価値観が通用しなくなった。企業は急速なデジタルシフトを余儀なくされ、乗り遅れると市場からはじき出される厳しい環境となっている。つまり、スマートフォン革命を超える大きな変化が現在進行形で進んでいるのである。そんな今は、再びデザインの力が強く求められている時代と言える。

 クラスメソッドが今回、広義のデザイン会社であるベイジと資本提携し、デザイン組織の構築に本格的に取り組むのも、こうした時代の潮流と無関係でない。

 2004年創業のクラスメソッドはこれまで、クラウドサービス、データ分析基盤、アプリ開発、IoT連携、AI/機械学習の技術を活用した企業向け支援を行ってきた。その中でもサービスの価値を最大化するデザインは非常に重要な領域と考え、積極的に投資を行ってきた。しかしこの社会の大きな変化を踏まえると、これまでの活動とは一線を画する、より高度なデザイン組織が必要になると考えた。クラスメソッドが考えるデザイン組織とは、UI/UXのみならず、サービスデザイン、組織デザイン、マーケティングといった、より抽象度が高く経営の最上流にアプローチできる組織である。

 今回クラスメソッドとの資本提携に踏み切ったベイジは、創業以来ウェブ制作を中核事業とし、とくにBtoB企業におけるマーケティング目的のウェブサイト制作においてはほかの追随を許さない強みを確立してきた。また近年は業務システムのUIデザイン事業が急拡大し、売上の約7割を占めるようになっている。しかしベイジの最大の強みは、質の高いアウトプットを作ることだけではなく、マーケティングや組織マネジメントといったビジネス領域における抽象概念を高度にデザインし、問題解決のシナリオを提案できる点にある。

 一方で、デジタル投資の加速と人材の流動化が追い風となり、ベイジの社員数は1年間で倍近くになった。この急速な組織拡大に、すでに500人規模の組織を束ねているクラスメソッドの効率化されたマネジメント手法やバックオフィスのノウハウは、ベイジのさらなる成長の後押しになると考えられる。

 この資本提携によって、両社はデジタル領域におけるデザイン業務の協業を加速させる。

今後の取り組み

今後数年間をかけて、クラスメソッドとベイジは、以下のような取り組みを計画している。

  • クラスメソッドにおけるデザイン組織の組成
  • 枌谷力氏のクラスメソッド参画およびCDO(Chief Design Officer)就任
  • デザイン人材育成に関するナレッジ共有および共同研究
  • 業務システムUI/UX分野における共同事業推進
  • 共同デザインシステムの開発
  • 企業のインハウス支援における共同メニュー開発
  • 自社サービス開発におけるUXリサーチ業務のメニュー化
  • デザイン系サービスにおけるデザインプロセスの共通化
  • デザイン組織構築手法のサービス化
  • 共同でのメディアプラットフォーム開発
  • マーケティング&セールスにおける協業
  • 両社間での留学制度などのナレッジ・人員の交流

クラスメソッドのビジネスへのベイジの関わりかた

 なお、クラスメソッドによるベイジの株式の買い増し、吸収合併等の予定は現時点ではない。両社ともに単独で運営可能な事業環境を既に手にし、経済的には自立している。今回の資本提携は、両社の独自性を維持しながら、一社では生み出せないシナジーの創出を目的とする。