上手くいかないのは「期待値調整ができていないとき」 その解決策とは
もちろん、コミュニケーションが大切なのはクライアントだけではない。同じかそれ以上に重要となるのが、ともにプロジェクトを進める社内メンバーとの関係構築だ。さまざまな職種のメンバーとともにプロジェクトを進めるからこそ、価値観やスキルなどの違いからその進行が上手くいかないケースも多いのではないだろうか。
そんな社内のコミュニケーションを円滑に、ひいてはプロジェクトで成果をだすために行っているチームビルディング手法のひとつが「ドラッカー風エクササイズ」だ。プロジェクトを始めるときに「自分は何が得意なのか」、「自分はどうやって貢献するつもりか」、「自分が大切に思う価値は何か」、「チームメンバーは自分にどんな成果を期待してると思うか」の4つの質問をチームで共有するというものである。(出典:Jonathan Rasmusson『アジャイルサムライ−達人開発者への道−』オーム社、2011年)
「実際にこの手法に取り組んだときに社内のメンバーから、『岩野さんには驚くような企画をだしてほしいです』と言ってもらったことがありました。ですがそれは、私が得意なことではなかったんですよね。そこで『斬新な企画を考えることが、実は苦手なんです。少し粗い企画をブラッシュアップすることは得意なので、そういった部分で貢献できればと思います』と共有しました。
チーム内のコミュニケーションが上手くいかないケースの多くは、自分やチームが期待していることを相手ができていないとき。それがストレスや軋轢を生む原因となることが多いのではないでしょうか。自身が何で貢献するのか、そして何を期待してほしいかを共有することが、メンバーとのスムーズなコミュニケーションに役立つと考えています」
プランナー、サービスデザイナー、グラフィックデザイナー、エンジニアなど、ゆめみに在籍するメンバーの職種やそれぞれがもつ価値観もさまざまだ。だが、このドラッカー風エクササイズや、案件共有会をはじめ、月に100回ほど行われている社内勉強会などによって、社内メンバーと期待値のすり合わせができていることが、クライアントワークにおけるコミュニケーションにも活きているのだろう。
今後もデジタル化がいっそう進んでいくことはおそらく避けられない。新たなテクノロジーが生まれ、日常も変化していくはずだ。だが、「『できない』、『私の仕事ではない』と言わない」という岩野さんの信条は、時代によって左右されるものではない。長年培ってきた知見を武器に、そしてこのコミュニケーションにおけるマインドセットを胸に、これからもクライアントと走り続ける岩野さん。その挑戦は、まだまだ続く。
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