キーワードは「共感」と「期待」 愛され選ばれ続けるブランドづくりのためにSNSができること

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2022/04/27 11:00

ファンづくりの起点は、ブランドへの共感

 ブランドづくりにおいて大切な「期待」と「共感」を生むために、SNSはどのような役割を果たしているのだろう。それを紐解くキーワードは「表現の自由」だ。今までは広告やキャンペーンをとおしてブランドが一方的に態度変容を促していくことがほとんどであった。だが、SNSが自由な表現を可能にしたことで、ブランドは顧客に“らしさ”を届けやすくなり、それがファンを生むひとつの流れになっている。

「これからは『ブランドがどのように共感されるか』を起点に、コアファン、ファン、ユーザーとその円が広まっていく時代です。そんな中でコアファンを生むためのポイントは、いかにブランドの仲間やファンを集め、どのようにその輪を広めていくのかを設計すること。ファンがファンを育て、ファンが新しいユーザーをファンにし、また、そのファンが新しいユーザーを呼んでくるのです」

 また三島氏は、SNSを活用するメリットとして、興味喚起から理解、購買、ファン化、CRMといった一連のカスタマージャーニーを一気通貫で描くことができるようになった点にも言及。以前は認知拡大が役割の中心だったSNSも、今やそれだけにとどまらない。

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 さらにSNSは「生の声を聞き、ブランドへのフィードバックを直接もらうことができるニーズの宝庫」だと表現する。

「真のニーズを拾いながらブランド体験をつくり、その過程でPDCAを回していく。これがさらなるファンを生み、ブランドの成功確度を高めていくのではないでしょうか」

 たとえばD2Cブランドの「KINS」では、SNS上でのコミュニケーションや反応をEC上のデータと結びづけるだけでなく、スピーディーにプロダクトにも反映している。スナック菓子の「じゃがりこ」では、1年にわたって顧客とともにフレーバーを考えるプロジェクトをTwitterで実施。また、サンドイッチチェーンの「サブウェイ」ではTikTok上でユーザーと密にコミュニケーションをとり続けているが、こういった3ブランドのアクションは、直接的な売上を見込んでいるわけではないだろう。「ファンをつくる」ことに重きを置き、さまざまな施策を展開しているのではないかと三島氏は分析する。

「わかりやすいメッセージングはもちろん、顧客と対話しながら、共感と期待をつくっていく部分が、3つのブランドの共通点だと思います」

 だが、ひとくちにファンと言ってもその度合いはさまざまだ。ブランドとの共創プロジェクトがあったときに、是が非でも参加したい。それほどではないものの、新しいアイテムは必ず購入している。街で店舗を見かければ訪れることが多い――。こういったファンの解像度を可視化することが、共感を生む体験づくりには非常に重要だと言う。

「テテマーチでは、そのためのインナー指標としてNPSを用いるケースも増えています。一方アウターの指標はUGCに置き、どのようにLTVにつながったのかを追ったり、SNSのフォロワーにアンケートを実施することもあります。UGCコンテンツをアップしたユーザーへの調査によって集めた指標をもとに、クライアントとそのありかたを決めながら進めています」