Springin'と前田デザイン室に共通点したデザインへの思い
――まずは、おふたりのこれまでのキャリアについてお伺いできますか。
前田 前田デザイン室は正確にはオンラインサロンで、デザインの仕事は株式会社NASUという屋号でやっています。仕事以外でも、ものづくりを楽しみたいという思いから、前田デザイン室をつくりました。
僕は新卒で任天堂に入って、CMなどをつくるプロモーションチームに14年半ほど所属していました。楽しく仕事をしていたのですが、父親が認知症になったタイミングでふと立ち止まって……。父親をサポートしたいと思いましたし、家系的に自分もいつかそうなるかもしれないと考えたら、任天堂以外でチャレンジしたいと考えるようになりました。そこで任天堂を退職後フリーランスになり、株式会社NASUを立ち上げるに至りました。
中村 福岡の九州芸術工科大学の大学院でグラフィックやデザインに触れました。そこで博士まで行ったのですが、何か人と違うことをしようと思い、当時まだ珍しかったメディアアートの創作をしながらユニバーサルデザインで博士号を取得しました。
しくみデザインでは、見ている人に反応する広告など、メディアアートの商業化を日本で先駆けて取り組み始めました。そしてある時「そもそもつくることそのものがいちばん楽しいのではないか」と気づいたんです。さらに「プログラミングがあるから、今まで世の中になかったものをつくりだせる」と思ったので、このプログラミングを気軽に使えるようになれば、みんながクリエイターになれるのではないかと考えました。これがプログラミングアプリ「Springin'」の始まりです。
――今年2022年2月に、2社のコラボレーションが発表されました。協業に至るまでの経緯はどのようなものだったのでしょうか。
中村 僕から相談しました。前田さんのTwitterやnoteを見て思想が似ているのでいつかコラボしたいと思っていたときに、前田デザイン室で「DOTOWN」というドット絵をフリーで使用できるサービスを始めると聞いたんです。これは「Springin'」と相性が良いと確信し、サービスが開始した瞬間に連絡。即答で快諾いただくことができました。
Springin'はゲームを簡単につくることができるアプリですが、素材を使えばもっとクオリティが上がりますし敷居も下がるはず。一緒にDOTOWNの素材を使ったゲームコンテストをやりたいとお伝えしました。
前田 即答でしたね。「誰もがクリエイターになれる」ことを目指すSpringin'と、前田デザイン室が目指す「いろいろな人にデザインのおもしろさを伝える」という思想はとても近い。だからこそ話を伺ったときは「そんなアプローチがあったんや」と驚きましたね。
中村 DOTOWNがサービスを開始してすぐ、Springin'のユーザーから「この素材を使えたらおもしろそう」という声ももらっていたので、実際にコラボを発表したときの反響も大きかったです。