潜在層と顕在層でどのように作りわけるのか 健康食品の広告におけるクリエイティブ制作のポイントとは

潜在層と顕在層でどのように作りわけるのか 健康食品の広告におけるクリエイティブ制作のポイントとは
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 広告におけるクリエイティブノウハウを解説していく本連載では、アイディアを考える際に基本となる「メディア」、「コンテンツ」、「ターゲット」にそれぞれ焦点を当てていきます。第7回では、健康食品にフォーカスし、広告クリエイティブのつくりかたをお伝えします。

 こんにちは。株式会社D2C Rでクリエイティブプランナーをしている菊池(@crplanner_desu)です。以前執筆した記事ではTwitterにおけるクリエイティブの考えかたや事例などをご紹介しましたが、今回は「健康食品」に焦点をあて、ターゲットに合わせたクリエイティブでの勝ち筋や表現などを説明できればと思います。ウェブ関連のダイレクト案件であれは、高確率で転用もできるので、ぜひ参考にしていただけたら嬉しいです。

健康食品市場の特徴とは

 まずは健康食品の現状から振り返っていきましょう。

 今や非常に大きな規模になっている「健康食品」市場。ひとえに健康食品と言っても、一般健康食品、機能性表示食品、医薬部外品などさまざまな種類があり、期待できる効能も多岐にわたります。コロナ禍によるユーザーの健康意識の上昇などの影響で健康食品のニーズは日々上昇し続けていますし、それに合わせ、各企業から日夜新しい商品が生まれています。

 実際に矢野研究所の調査結果からも見てとれますが、微増ながらも健康食品市場は2021年まで拡大しており、2022年には市場規模が9,000億円を超えると予測されています。

 市場が成長している一方、近年では現存している企業だけでなく、さまざまな新規企業の参入やインフルエンサーが起点となった商材の登場、海外企業の市場参入など競争が激しくなっている状態でもあります。加えて近年では、薬機法や景表法の基準も厳しくなっており、企業には法令遵守を徹底した上でのクリエイティブ展開が必須となっています。

健康食品市場でのクリエイティブ攻略法 事例をもとにポイントを解説

 市場の競争がいっそう激しくなることが予想され、かつユーザーの情報などデータ取得に関する規制も強化されるデジタル広告界隈の状況をふまえると、今後クリエイティブの比重はより高くなっていくことでしょう。そのため企業は、よりターゲットのインサイトに合わせた表現をクリエイティブに落とし込んでいく必要があります。

 健康食品に関わらず、それぞれのユーザーを悩みの深度ごとに、「潜在層」、「準顕在層」、「顕在層」の3つにわけるのが、ターゲットの分類方法としては基本かと思います。もちろん、各層によってモチベーションやインサイトも変わってくるため、刺さるクリエイティブ表現も異なります。

 今回は架空の商材をベースに、「潜在層」、「顕在層」のふたつにターゲットを絞り解説していきます。例に挙げるのは、次の図のような関節痛にアプローチできる一般健康食品。この場合、どのようなクリエイティブが最適なのでしょうか。

潜在層に届けるためのクリエイティブ例

 まずは潜在層のクリエイティブ表現からです。健康食品の潜在層には、次のような傾向がみられます。

  • 「あの頃は大丈夫だったのに」など、過去と比較した上で漠然と悩みを感じている。
  • うっすらと対策の必要性は感じているが、行動までは至っていない。
  • 悩みの詳細についての理解は進んでおらず、リスクに関する知識も少ない。

 このように、まだアクションに移していないことから、商材の良さをストレートに伝えたとしても「自分にはまだ関係ない」と思われてしまい、ユーザーが自分ごと化できない可能性が高いです。そのため潜在層に対しては商材自体のUSP(Unique Selling Proposition:その製品やサービス独自の強み)を事実として伝えるのではなく、より情緒的な表現で、ユーザーが理想とする姿をはじめとした「ベネフィット」として届ける表現が有効です。

 そこで潜在層に情報を届ける際には、クリエイティブやテキストでも「理想の姿」や「現状の悩み」を記載すると良いでしょう。「自分のことだ!」、「すごくわかる!」と共感を促し、自分ごと化してもらうことができるためです。また、ひとめで広告だとわかる表現に難色を示すユーザーもいるかと思いますので、「コンテンツとして質の高い表現」にすることもポイントのひとつです。

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