開き直って投稿した漫画が2万RT超え 横山了一さんが企業とのコラボで意識していること

開き直って投稿した漫画が2万RT超え 横山了一さんが企業とのコラボで意識していること
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2022/09/22 08:00

 あらゆるステークホルダーを巻き込みながら、企業やブランドを成長させていくことが求められるようになった昨今。その中で大きな役割を果たすようになったのが、クリエイターです。より良いものを生み出すために、両者はどのように関わればいいのか。相乗効果を生むためのポイントとは――。本コーナーでは、企業やブランド、そしてクリエイターの共創のありかたを探ります。今回お話を伺ったのは、漫画家の横山了一さんです。

不安定な漫画家生活を経て、ネットでの発信をスタート

――まずは横山さんが漫画家になったきっかけから教えてください。

漫画は子供のころから自然と描くようになりました。実は父が、集英社の漫画賞に入ったこともあるくらい絵が得意で、よく一緒に漫画を描く遊びをしていたんです。それもあって僕も、高校生くらいのころから漫画雑誌の月例賞や新人賞に出してみようと思うようになって。その後、釧路の実家を出て札幌の大学に通いながら、雑誌への投稿を続けていました。

学生時代はあまり大きな賞は取れず、卒業後は一度アパレル系に就職しましたが、その試用期間中に講談社のヤングマガジンで大きな賞をいただきました。漫画家に専念したいと母親に相談したらたいそう怒られましたが(笑)、結局フリーターをしながら編集者と一緒に企画を考えて、週刊ヤングマガジンでの連載が決まったのが24歳のとき。担当編集からの声を受け、東京に引っ越しもしました。

最初は連載5回の約束で始まりました。編集長に期待をしていただいていたこともあり、月刊誌の別冊ヤングマガジンに移って1年以上続きを描くことができました。

――現在のようにネットでの発信を始めたのはいつごろからですか? 

ホームページはデビューの1〜2年後には作っていましたが、日記を書いたり、ちょっとした漫画を載せたりと、あくまで趣味の範囲でした。本腰を入れてネットで広めていこうと思ったのは2015年ごろからです。

そこに至るまでに、ヤングマガジンでの連載が終わって次の企画もなかなか通らず、専属契約を切ってもらい別の出版社に移ったり、それも上手くいかず別のところで連載したりと紆余曲折ありました。10年以上、不安定な漫画家生活を続けていたんです。

その間に結婚もし、子供もふたりいましたが、妻も同業者でお互い仕事が不安定。東京暮らしは厳しいので、妻の実家の神戸に移ろうかといった話もあがるようになりました。そうなったらもう、やりたいことを何でもやってやろうと思い描いてみたのが育児漫画です。当時5歳の息子の僕への態度がひどかったので、漫画にしたらおもしろいだろうと。

出版社からエッセイの連載のお話でもいただけたらと思いながら1ページの漫画をTwitterに載せたところ、2万リツイートを大きく超えたんです。当時は漫画がそこまで拡散されることもあまりなかったので、僕自身も驚きました。次の日には実際に出版社から連載の話もいただいて……。こういうことが起きる可能性があるなら、雑誌の連載など出版社との仕事と並行してネットでの発信は続けようと決めたんです。

 

出版社との仕事だけだと、連載が終われば収入はゼロです。ですが生活があるし、子どもも育てなければいけない。それでまずは、保険としてブログを始めることにしました。読者も増えていったので、毎月少しでも収入になれば良いなという目論見で。

その収益も、はじめは月に1〜2万円程度でしたが、そのうちライブドアの公式ブログとして取りあげてもらい、1年ほどで家賃を払えるほどになりました。ブログ文化も当時よりは勢いが落ちている印象もありますが、収益があるうちはライフワークとして続けたいと思っています。なるべく毎日更新を心がけており、余裕がないときでも2日続けて休まないようにしています。

――それ以外では、どのような活動をされていますか?

今いちばん割合が大きいのは広告やPRの漫画です。2017年くらいから、SNSを使った広告案件も増えてきました。

ほかにはYahoo!JAPANクリエイターズプログラムという動画サイトに公式クリエイターとして登録していただいているので、まめに漫画動画を投稿しています。無料の電子書籍を配布できるKindleインディーズマンガも活用しており、これはダウンロード数に応じて分配金がAmazonから支払われる仕組みです。僕はTwitterで拡散された漫画を、Kindleインディーズでも流すようにしています。

漫画家 横山了一さん
漫画家 横山了一さん

このように、ブログやKindleインディーズ、同人誌にしてコミケなどで販売するなど、ここ数年でネットで注目してもらったあとに収益につなげるための選択肢がとても広がったように感じています。

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