会社で「明日までにチラシ作って」と言われたとき、まず初心者が学ぶべきデザインのコツってなに?

会社で「明日までにチラシ作って」と言われたとき、まず初心者が学ぶべきデザインのコツってなに?
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2022/11/22 08:00

 『レイアウト・デザインの教科書』(SBクリエイティブ)の共著者であり、登録者数8万4,200人(2022年11月現在)の犬の動画を配信するYouTubeの運営も行っているベーコンさんが、ちょっとしたデザイン術やツールの使いかたを解説します。今回は、レイアウトがテーマです。

 デザイナーのベーコンです。

 前回の記事では配色のポイントについてお届けしました。今回は、デザイナー、イラストレーター、プログラマーの方はもちろん、パソコンが得意だからという理由で会社や家族に突然「チラシ作って!」「動画作って!」と言われる非デザイナーにも役立つ「プロっぽいデザインを作るレイアウトの技」をお伝えします。

 それでは、デザインの4大原則のうち、まず初心者が学ぶべきルール、スタートです。

友人からデザインを教えてと言われたら

 夕方5時、友達から電話がかかってきました。

「ちょっと助けてほしいことがあって……。明日までに社内で使うポスターを作らないといけないんだけどさ、うまくできないんだよね」

 2時間みっちり教える時間は、僕にも相手にもありません。そのため、10分程度でデザインを良くする方法をひとつだけ伝えることにしました。結論から言うと、僕が教えたのはデザインの4原則のひとつ「強弱」(対比)です。これを使えば、プロっぽいデザインを作りやすくなります。

 初心者からプロまで使えるデザインの技を詳しく説明していきます。

デザインの4大原則とは 初心者はまず「強弱」を学ぼう

 デザインの4大原則とは、レイアウト(デザインの配置)に便利な4つの法則です。「近接」「整列」「反復」「強弱」の4つをうまく使うことで、わかりやすく高品質なデザインを作りやすくなります。(デザイン本では「強弱」のことを「対比」と呼んでいることが多いですが、ここでは初心者のかたにもわかりやすいように「強弱」と呼びます)

 僕は、デザインを良くする方法をひとつだけ伝えるときには「強弱」をオススメしています。

 もちろん、その人や、そのデザインに合った方法はたくさんありますが、速攻でプロっぽくするには強弱がいちばん有効だと感じているからです。

 実際にポスターを用いながら、強弱を使ったビフォーアフターを見ていきましょう。

社内用ポスター(ビフォー)

大事な部分を目立たせるための努力は感じますが……。
大事な部分を目立たせるための努力は感じますが……。

 こちらは非デザイナーさんが作ったデザインです。「警告」「廊下を走らないで」のふたつを目立たせる工夫がなされていますね。

 しかし本人の希望としては、もっとプロっぽい目立つデザインにしたいとのことです。

 さっそく強弱を使って、「廊下を走らないで」の文字をもっと大きくしてみました。フォントももっと太いフォントにして強さを表しています。

社内用ポスター(アフター ver.1)

使用フォントはNotosans:BLACK、太さが7種類もあるGoogleが開発したフリーフォント、オススメです。
使用フォントはNotosans:BLACK。太さが7種類もあるGoogleが開発したフリーフォント、オススメです。

 ちなみにこちらの会社、プリンターは節約のため白黒のみとのこと。画像も色も使わず強弱と少しのフォント変更でプロっぽいポスターを制作しました。改めてビフォーとアフターを比べてみましょう。

同じ内容ですが、右側(アフター)はメッセージが目立っています。
同じ内容ですが、右側(アフター)はメッセージが目立っています。

 まったく同じ内容でも、文字を大きくするだけでデザインがプロっぽくなります。ポイントは思った以上に強弱をつけることです。

ポイント

  • 大きさの強弱をつける(思っている以上に大げさに)
  • 文字の太さも強弱をつける

 大きさの差をつけることで、デザインががらっと変わりプロっぽいデザインになります。また強弱をつけることでデザインが大きく変化し、新しいアイデアが生まれることがあると感じています。

 デザインに悩んだときにぜひお試しください。

さらに強弱を活かすちょっとしたポイント

 また強弱を使うときは「揃えること」も意識をするとさらに良いデザインが作れます。

社内用ポスター(アフター ver.2)

「揃える」を徹底するとデザインのレベルがグンと上がります。
「揃える」を徹底すると、デザインのレベルがグンと上がります。

 こうやって揃えると強弱をより活かすことができ、プロっぽいデザインを作ることができます。強弱と同じく、デザインの4大原則「整列」という法則です。

さらにデザインのクオリティをアップ

 社内で貼るポスターの設定はここで終了です。ここからは、デザイナー・ベーコンとしてさらにデザインのクオリティアップを考えてみることにします。

 先ほど作ったこのデザイン、時間を置いてみると少しクオリティが低いなと感じました。そこで考えたのが「さらに強弱を使う」です。

 僕も何年もデザイナーをやっていますが中途半端な強弱を使ったデザインを作り、「うまくできない…...」と絶望することがあります。なにが言いたいかというと、思った以上に極端に強弱を使うのが大事ということです。

 そこで早速、先ほどのデザインにさらに強弱をつけてみました。

社内用ポスター(アフター ver.3)

デザインは良くなりました。ただ、文章は恐ろしいこと書いてますけどね。
デザインは良くなりました。ただ、文章は恐ろしいこと書いてますけどね。

 どうでしょうか?先ほどよりビシッとしまったデザインになりました。

さらにデザインのバリエーションを考えてみました

 先ほどの条件では「色を使わない」「フォントは大きく変えない」というルールで作っていましたが、もう少しその条件を緩めて作ったデザインがこちらです。

エモい系手書きデザイン

社内用ポスター(アフター ver.4)

あえて文字を大きくしないタイトルで、廊下を走る人が減るといいですね。
あえて文字を大きくしないタイトルで、廊下を走る人が減るといいですね。

 エモい映画のポスターをイメージした手書きフォント(フォント名:花とちょうちょ)を使ったデザインです。感情に訴えかけているようなデザインで、廊下を走らないでほしい気持ちを伝えています。

web3風グラデーションを使ったデザイン

社内用ポスター(アフター ver.5)

白黒プリンターで印刷するとガサガサなデザインになりそう……。
白黒プリンターで印刷するとガサガサなデザインになりそう……。

 今どきっぽいグラデーションを使ったデザインです。写真やイラスト、凝ったフォントを使わなくても、色を使ってあげることでメッセージ性のある高クオリティのデザインを作ることができます。

 今回は強弱を使うことで、文字そのものをメインビジュアルの画像のようにしてみました。素材が手に入らないけどプロっぽいデザインを作らないといけないときの参考になればと思います。

最後に

 今回はデザインの4大原則「強弱」を集中してお伝えしました。

 デザインがうまくなるためには、レイアウト、配色、写真の加工方法など学ぶことはとても多いです。しかし、まとめて覚えるのは難しいんですよね。「レイアウトだけ」「配色だけ」と部分的に集中して練習することでデザインがしっかりと身につきます。ぜひ実際に制作して試してみてください。