[後編]「全員がデザインを適切に使える状態」を目指して ラクスルにおける組織づくりの今とこれから

[後編]「全員がデザインを適切に使える状態」を目指して ラクスルにおける組織づくりの今とこれから
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2022/11/25 08:00

 2022年8月からVP of Designのポジションを設置し、デザイン組織マネジメントの新章に突入したラクスル。同社で長年デザイン組織を牽引してきた執行役員CPO 水島壮太さんと、そのバトンを引き継いだVP of Designの和泉純一さんの対談を敢行。プロダクトとデザイン、それぞれのトップとして事業の成長を目指すおふたりに、デザイン組織のリアル、ビジネスにおけるデザインの位置づけ、デザイン組織の理想の姿などについて話を聞いた。後編では、デザイン、プロダクトそれぞれのトップとしての役割や日々の心がけにフォーカスする。

デザインができることはもっと広い 

――今年8月に新たにVP of Designに就任した和泉さんがチャレンジとしてスタートしたことはありますか?

和泉 当初掲げた6つの目標のひとつ「デザイナーの能力を広げる・深める」の達成には、キャリアパスの設定だけでなく、実際にそのキャリアパスを歩めるだけの仕組みも必要だと考えています。「デザイナーがいることでこういったことができるようになり、さらには事業がこう良くなる」といった証明を組織全体として行っていくことが、キャリアパスの構築にもつながると思い、その仕組みづくりを進めているところです。

水島 理想としてはデザイナーがほかの職種にどんどん“染み出す”状態をつくりたいですね。

デザインが強い会社だと、デザイナーがプロダクトマネージャーの役割も担っていて、データベースの構築に意見を出す、というケースもありますが、ラクスルはまだデザイナーの役割の中に閉じてしまっています。

これは、デザイナーのカバレッジがそれほど広くなくても上手くいっていた、という成功体験があるからでしょう。むしろ、ビジネスやエンジニアの人がデザインの方向に染み出してきて、デザインが端に追いやられてしまうことがラクスルでは多いですが、デザイン側がこれを押し返すパワーをつけないと、デザイナーの感覚がプロダクトに反映されていかないんですよね。逆に「このプロジェクトにはビジネスサイドはいらないです」というプロジェクトがあっても良いくらいだと思っています。

和泉 デザイナーが手一杯だと、染み出していけないんですよね。機能やページのデザインといったクラシカルなデザインタスクは、デザイナーにしかできないためそれが優先になってしまいがちですが、本来デザインができることはもっと広い。上流から入ってほしいという思いは常にあります。

ラクスル株式会社 VP of Design 和泉純一さん
ラクスル株式会社 VP of Design 和泉純一さん

水島 デザイナーが少ないから余計なことをさせたくない、とほかの職種のメンバーが過保護になり、決まったことを行ってくれているだけでありがたいという存在に自然となってしまう。人員を補強しないと、そのバランスは取りにくいと思っています。

ただデザイナーの人数も増え、少しずつできるようになってきているので、さらに強化しながら目指していきたいところです。

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