デザインができることはもっと広い
――今年8月に新たにVP of Designに就任した和泉さんがチャレンジとしてスタートしたことはありますか?
和泉 当初掲げた6つの目標のひとつ「デザイナーの能力を広げる・深める」の達成には、キャリアパスの設定だけでなく、実際にそのキャリアパスを歩めるだけの仕組みも必要だと考えています。「デザイナーがいることでこういったことができるようになり、さらには事業がこう良くなる」といった証明を組織全体として行っていくことが、キャリアパスの構築にもつながると思い、その仕組みづくりを進めているところです。
水島 理想としてはデザイナーがほかの職種にどんどん“染み出す”状態をつくりたいですね。
デザインが強い会社だと、デザイナーがプロダクトマネージャーの役割も担っていて、データベースの構築に意見を出す、というケースもありますが、ラクスルはまだデザイナーの役割の中に閉じてしまっています。
これは、デザイナーのカバレッジがそれほど広くなくても上手くいっていた、という成功体験があるからでしょう。むしろ、ビジネスやエンジニアの人がデザインの方向に染み出してきて、デザインが端に追いやられてしまうことがラクスルでは多いですが、デザイン側がこれを押し返すパワーをつけないと、デザイナーの感覚がプロダクトに反映されていかないんですよね。逆に「このプロジェクトにはビジネスサイドはいらないです」というプロジェクトがあっても良いくらいだと思っています。
和泉 デザイナーが手一杯だと、染み出していけないんですよね。機能やページのデザインといったクラシカルなデザインタスクは、デザイナーにしかできないためそれが優先になってしまいがちですが、本来デザインができることはもっと広い。上流から入ってほしいという思いは常にあります。
水島 デザイナーが少ないから余計なことをさせたくない、とほかの職種のメンバーが過保護になり、決まったことを行ってくれているだけでありがたいという存在に自然となってしまう。人員を補強しないと、そのバランスは取りにくいと思っています。
ただデザイナーの人数も増え、少しずつできるようになってきているので、さらに強化しながら目指していきたいところです。