ラグジュアリーライフスタイルブランドとして、デザイン&テクノロジーでより良い未来の社会・暮らしを創造することに挑むLEXUSは、世界中の新進気鋭のクリエイターに焦点をあてる国際的なデザインコンペティション「LEXUS DESIGN AWARD」を今年度も開催する。本コンペティションは、豊かな社会やよりよい未来を形成するデザイナーやクリエイターを支援することにより、社会に貢献するアイディアを育むことを目的に2013年に創設され、今年度で8回目を迎える。同賞の入賞者は、世界的に活躍するクリエイターをメンターとし、自らのアイディア案を実現するプロトタイプ制作の機会が与えられる。そして完成したプロトタイプは、ミラノデザインウィークで展示されるというものだ。そんな取り組みの一環としてLEXUSは、社会課題を発見し解決する方法を学ぶワークショップを2日間にわたって実施した。
発想を転換するためのポイント
2日目に行われたTech & Material DAY of SOLUTIONのテーマは発想法のインプットや、ステンレスメッシュ、ハニカムといった先端素材を活用したアイディアのアウトプットがテーマ。
まず、発想法のパートに登場したのは、エムテドでコンセプトメイキングからプロダクトアウトまでのトータルデザインを手がけている田子學さん。三井化学グループのオープン・ラボラトリー活動「MOLp™(以下、MOLp)」にも携わっている人物だ。MOLpとは、三井化学グループが継承し、培ってきた素材や技術の機能的価値や感性的な魅力を、あらゆる感覚をとおして再発見し、そのアイディアやヒントをこれからの社会に還元していくことを目的とした取り組みだ。今回田子さんは、そんな三井化学での取り組みを例にあげながら、新たな素材や技術との出会いを通して、「新たな価値観・デザインを生むための発想転換術」をテーマに講義を実施。「見方を変えること」が発想を変えるためのいちばんの方法であると語った。
「頭を改造するためのツールを活用することももちろん無駄ではありませんが、根本の原理を理解していないと、いくらツールを使ってもダメなんです。発想を変えるもっとも簡単な方法が、見方を変えること。たとえばあるマテリアルについて、これがどこで使われているのかがわかったら、じゃあこの使われかたをどういう風にひっくり返そうかなとまずは考えてみるのが良いと思います。
こういう風に見方を変えると、まずは考えかたが変わります。今までと違う視点を持つことで、これがどういう風に世の中にインパクトを与えるのかを考えるようになるからです。そして考えかたが変わると、伝えかたやコミュニケーションが変わってくる。さらにこうやってある程度、逆張り的に戦略を進めていくと、マーケットも変わります。
ある素材やテクノロジーと出会ったときに、少し俯瞰して『ちょっと待てよ。この範囲だけにこの素材をおさめておくのはもったいないんじゃないか』という視点で考えてみると、物事って逆転現象が起きていくはずなんです」