ソーシャル疲れの日本にこそ必要な「ハッピー」なアプリ
――日本展開の現状やユーザー層について教えてください。
僕は2021年の8月に、Snapchatの日本人第1号として採用され、2022年3月に日本オフィスが立ち上がりました。それ以前は、丁寧なご説明もないまま、アメリカで流行っているアプリとして日本に入ってきていました。だからこそ勘違いされ、単なるフィルターアプリ、さらに言えば「おもしろい変顔アプリ」として伝わってしまった面もあると思います。
そんななか我々が日本でアクティベーションを始め、きちんとバリューをお伝えすることで、少しずつ「ビジュアルコミュニケーションのためのアプリ」として理解いただけ始めたのではないかと感じています。最近はARやVRが浸透してきたこともあり、ARプラットフォームとしての認識も高まってきたのではないでしょうか。
海外では13〜15歳くらいのユーザーにも多く使われていますが、日本ではどちらかというと大学生のコミュニケーションツールとして、ここ1〜2年流行ってきている印象です。僕らが大学生のインターンに手伝ってもらい、大学でアクティベーションしていることも関係しているでしょう。
よく、日本でSnapchatが浸透する余地があるのかと聞かれることがあるのですが、海外でも、チャットアプリとしてWhatsAppが普及している中、Snapchatもたくさん使われています。Snapchatはとくに用事がなくても、日常の中でぱっと写真を撮って友だちとコミュニケーションをするためのものなので、チャットアプリとは文脈が異なります。
また、さまざまなソーシャルメディアの浸透により、いわゆる「ソーシャル疲れ」が起きている日本にこそ必要なアプリだとも感じています。Snapchatではユーザーの90%が「快適さ」「ハッピーさ」「つながり」を感じており、ほかのメディアと比較してもっともハッピーなプラットフォームだというアンケート結果もあります。承認欲求にとらわれず、本当に仲の良い友達と純粋にくだらないおしゃべりができるアプリとして、ポジショニングしていくことができると考えています。
――Snapchatでは、どのようなユーザーが活躍しているのでしょうか。
ユーザーのことはスナップチャッター(Snapchatter)と呼びますが、その中でいわゆるトップユーザーに当たる人を「Snapスター」と定義しています。TwitterやInstagramにも認証バッチがありますが、Snapスターには星が付きます。Snapchatは友だち同士でコミュニケーションをするアプリだとお伝えしましたが、ストーリーズを公開するとフォロワーがその投稿を見ることができるようになる。鈴木里奈さんやMeg and HinaさんらSnapスターは、トップインフルエンサーのような形で活躍いただいています。一方でフィルターを制作し公開しているクリエイターにも認証バッジをお渡しするケースがあります。フォロワーがたくさんいたり、ユニークなコンテンツを作成されている方にお声がけし、認証しています。
コンテンツの作りかたとしては、やはりARが非常にパワフルですから、レンズを使ったコンテンツづくりがポイントになると思います。また、何気ない毎日を楽しむアプリなので、トップインフルエンサーの方々も日常をシェアしていることが多い印象です。