生成AIに感じた可能性とは
――まず、これまでのご経歴と、Algomaticへの入社を決めた背景を教えてください。
2015年ごろ「UI/UX」や「デザイン思考」といった言葉が注目され始めたとき。僕は大学生でした。そういったデザインの先進的な取り組みをしていたと感じていたグッドパッチに新卒で入社したのち、TBSテレビに転職。どちらの会社でも主にデジタルの新規事業の立ち上げや、プロモーションのクリエイティブディレクションなどを担っていました。
そのころ、兼業でBison Holdingsという会社に役員として関わっていました。Algomaticの創業と同時にこの会社が買収されたため、僕も創業メンバーとして加わる形になったんです。
ただ、TBSテレビを辞めてフルコミットするのか、当時はかなり迷いました。いちばんはじめの直感としては、Algomaticにジョインするとはあまり思っていなかったんですよね。
そのころChatGPTが登場し、たしかに社会が変わるという感覚はありました。ですが、立ち上げたばかりの生成AIのスタートアップで、CXOとして自分が取り組んでいくことをイメージできるほど解像度を高められていなかったんです。ただ同時に、生成AIのサービスを触って技術の解像度を高めたり、代表の大野や親会社のDMM会長の亀山さんと話したりするなかで、考えが変わっていきました。
その理由のひとつは、生成AIの登場はインターネットに匹敵する技術革命であり、新しい産業が生まれるチャンスに溢れていること。そしてもうひとつは、これから自分がデザイナーとして脂が乗ってくる時期であり、今までの経験を生かしながらゼロからチャレンジできる環境が目の前に揃っていること。このふたつのタイミングが重なることは最初で最後の貴重なチャンスだと考え決断しました。
当時選択肢として、Algomaticへのフルコミットに踏み切れていなかったにも関わらず生成AIのサービスを積極的に触ってみたのは、何か惹かれる部分があったから。心の底では自分でもわかっていたのだと思います。
買収された会社の代表で、現在はAlgomaticのCTOを務めている南里の様子にも感化されました。別のメンバーが代表をつとめるのに「大野(Algomatic代表)が言うならついていきたい」とわくわくしながら構想を語っていたことが衝撃的で……。領域としても会社経営としても、とても魅力的な体制が生まれようとしているのだと感じました。
また、僕の性格上、本来はスタートアップでの挑戦が好きな気持がありながら、セーフティな選択をしたくなる部分もある。技術の解像度を上げたり、信頼する経営者の方々に壁打ちさせてもらったりしていたのは、自らの背中を押すためだったのだと思います。