低コスト、短期間、高クオリティの分析を可能にした手法
UX/UIレビューサービスの対象となるアプリやウェブサイトは、BtoC、BtoB、従業員向け情報ポータルサイトなど対応可能な形態は幅広く、PCやスマホ、タブレットなど、デバイスもその種類を問わない。また、基本的には、正式な申し込みを受けてから10営業日内という短期間でのレビューレポート作成を可能にするなど、フレキシブルさとスピード感が本サービスの魅力だ。
では本サービス“ならでは”の強みは一体どこにあるのか。村上さんが挙げたのは、「レビュー時に用いられる分析手法」の採用だ。
UX/UIレビューサービスでは、ユーザビリティや、そのサービスが達成すべき目的に沿って情報が設計されているか、サービスとしてのクオリティを問うのに加え、もっとも重要視したのが、オブジェクト指向だと言う。サービスの「画面」単位ではなく、その中のもっとも小さな要素(=オブジェクト)に注目して分析を行うというものである。
「たとえば本のアプリであれば、本という要素に加えて、『メモ』、『本棚』といった要素(オブジェクト)にまでまずは分解します。そして、それらの要素同士がどのような関係性のもとにそのアプリが成り立っているのかを、レビューしていきます。
その関係性が見えると、ソフトウェアがどのような構造になっているのか、そして改善すべき点はどこにあるのかを把握しやすくなる。また最小の要素に着目して分析を行うことによって、デザインの知識がない経営者やビジネスサイドの人たちにも、より理解しやすいレビューが行えると考えています」(村上さん)
UX/UIレビューサービスのゴールはコンサルティングではなく「レビュー結果の文書化」であるため、レポートの納品をもってサービスは完了となる。あえてUX/UIレビューの部分のみをサービスとして切り出したのには、どのような意図があるのだろう。
「UX/UIレビューサービスで浮き彫りになった課題は、YUMEMI Service Design Sprintというサービスで引き継ぎ、デザインプロジェクトの進めかたや組織の課題にまで踏み込んで、クライアントとともに改善していくことも可能です。クライアントが課題を自社で改善することが可能であれば、UX/UIレビューサービスのみを利用していただくのも有効な活用方法になるはず。短期間で課題を整理できるメリットをまずは感じていただけたらと思っています」(本村さん)
ただ、たとえ短期間かつ低コストで分析を行うことができても、担当するゆめみのメンバーによってクオリティにばらつきが出ては元も子もない。誰が行っても同じ分析精度を担保するために、プロジェクトマネージャーのふたりは社内で勉強会を開催。オブジェクト指向分析の手法や考えかたを、メンバーに継続的にインプットしている。
「レビューを担当するメンバーによって分析の結果が異なっては、一貫性がなくなってしまいますよね。どこに着目し、どんな視点で分析をするべきか。それを明確にしていく作業は、サービスの検討段階でもとてもこだわりましたし、今後も継続的にアップデートすることで、社内全体に浸透させていきたいと考えています」(本村さん)