想定外の活用法 異なる職種のメンバーが目線をそろえるツールにも
取材時には、UX/UIレビューサービスのリリースからおよそ5ヵ月が経過していた。ふたりに周囲からの反響について尋ねると、その数は予想以上に多く「問い合わせから商談につながるケースも多い」ようだ。
実際に本サービスを利用した企業には、ふたりが当初想定していなかったユニークな活用法もあったという。あるクライアントは、新たに加わるメンバーと自社の課題を認識し足並みをそろえることを目的に、人事異動のある4月にUX/UIレビューサービスを活用したそうだ。
「UX/UIレビューサービスを行うと、レビューを行ったアプリやウェブサイトのみならず事業全体の理解度も高まるため、理に適った利用方法だと感じました。
最近では別のプロジェクトでも、社内のメンバーが『まずはUX/UIレビューサービスからスタートさせてください』とクライアントに提案することもあります。最初にこのサービスを利用していただくと、アプリやウェブサービスの課題をお互いに共有することができるため、同じ視点で対話ができるようになるんです」(本村さん)
「私たちはシンプルに『課題解決のためのサービス』という捉えかたをしていましたが、クライアントから新たな発見をいただくことが多くありがたいです。いただいたアイディアは、今後積極的にサービスに反映させていきたいと思っています」(村上さん)
アプリやウェブサイトを改善するべきだという漠然とした思いはあるものの、具体的な根拠を提示できない。どのように経営陣やビジネスサイドに説明をしたらいいかわからない。そんな悩みを抱えているデザイナーや開発者にとっては、このサービスが渡りに船となるかもしれない。
順調なスタートを切ったUX/UIレビューサービスだが、今後はさらなる機能拡充を目指している。今後のサービスについて、ふたりはどのようなイメージを持っているのだろうか。
「今は定性的な分析がメインではありますが、今後はクライアントの社内にあるデータもあわせて活用することで、レビューの分析結果にさらに付加価値をつけることができるようにしていきたいですね」(村上さん)
「現在は情報構造やユーザビリティといったデザインの観点からレビューをしていますが、今後は社内のほかのメンバーと協力し、システム面のレビューも並行して行えるようにできればと考えています。また、ユーザーインタビューやユーザビリティテストなどをオプションメニューに加えることで、既存アプリやウェブサービスにおけるユーザー体験全体の可視化をクライアントと一緒に作ることにも挑戦していきたい。そうすれば、よりユーザーに寄り添った仮説だてができるようになるはずです」(本村さん)
利用のハードルは下げながらも、分析のクオリティを十分に高めたゆめみのUX/UIレビューサービス。このサービスはいずれ、アプリやウェブサイトをもつ企業が分析を行うときのデファクトスタンダードとなる可能性も秘めているのかもしれない。さらなるアップデートに期待が高まる。