きっかけは「ネット以外でもBASEのロゴが広まってきたこと」
――まずは、このタイミングでロゴのリファインを行うことになった背景について教えてください。
神宮司 リファイン前のロゴはサービスのリリースから8年弱経っているんですが、最近ではインターネット以外でもBASEのロゴを見かけることが徐々に増えてきました。BASEのテレビCMで流れたり、ウェブ以外のメディアでBASEのサービスをご紹介いただいたり。いろいろなシーンを想定したときに、ネット以外の媒体でも視認性が高いロゴなのかどうかという点に課題を感じ始めたんです。
また僕たちは、サービスのUIについては日々アップデートを続けていますが、ロゴに関してはこれまで一度も変えてこなかった。課題が顕在化してきたタイミングで、ロゴのリファインを考えてみようと僕が言い出したのが、2020年の3月くらいです。
まずプロジェクト化するにあたり、クリエイティブに強いメンバーが必要だということで、BASEでクリエイティブを手がけている江原さんに入ってもらいました。それから、デザインチームのマネージャーをつとめる小山さんと、グループ会社であるBASE BANKのロゴを手がけた吉岡さんに声をかけて。デザインのマネージャーと、経験値としてロゴとクリエイティブに近しいメンバーを集めました。
――江原さんはロゴをリファインすると聞いたとき、どんな感想を抱きましたか?
江原 これはまたプレッシャーのかかる仕事だなと思いました。これまで「変えない」という選択肢をとってきたことのメリットもたくさんあったと思うので、そこに切り込むのはなかなか勇気のいることです。ユーザーさんに慣れ親しんでもらっているものでもありますし、社内の人間も愛着を持っていたので、それをリファインするという仕事はワクワクもする一方、非常に責任も感じました。
創業時のロゴ制作者へ取材も 見えたのは、変わらない価値観
――ロゴのリファインを進めるにあたって、最初に取り組んだことは何ですか?
江原 リファイン以前の創業時のロゴを作った方へのインタビューです。最初に手掛けた方をリスペクトしたうえでリファインしていこうという思いがあったので、ロゴを作るうえでどんな思いがあったのか、なぜそのタイポグラフィにしたのかなど、ロゴに込めた意味や創業当時の温度感などを確認しました。
神宮司 以前からロゴには三角のマークが入っているのですが、これはアメリカ先住民の方々が使う「ティピ」がモチーフです。ティピは移動式でどこにでも簡易に立てられるテントのようなもの。僕らのサービスの、誰でも簡単にネットショップを作れる手軽さや、場所を問わず自分の経済基盤を持てるというイメージをティピで表しています。BASEは名前の響きが少し強く、固そうな雰囲気もあるので、どのようなモチーフだと柔らかくなるのか、デザイナーが入念に検討したと聞きました。
また、BASEは年代や性別を問わずすべての方に使ってほしいサービスなので、色合いも含めてあまり女性っぽさや男性っぽさを出さずに作るにはどのようにしたらいいか、という点も悩んだようです。実際に僕らも今回のリファインを考えるうえで、いかにニュートラルなイメージにできるか、同じような課題をもちながら進めていきました。
今回は最初からリニューアルではなくリファインだと決めてはいたものの、もちろん大きく変える選択肢もなかったわけではありません。ですが最終的には、僕たちのプロダクトの価値観は創業時から変わっていないので、最初のロゴを踏襲し、それをさらに洗練させていく方向性に決めました。