直感的なユーザー体験をつくる Sansanのスキャナー刷新に取り組んだクリエイターの挑戦

直感的なユーザー体験をつくる Sansanのスキャナー刷新に取り組んだクリエイターの挑戦
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2019/09/20 08:00

 「早く言ってよ~」のテレビCMでもおなじみの法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」。現在、契約件数は6,000件を突破している。2007年の創業より提供を開始しているSansanは、サービスや機能面では頻繁に改善やアップデートが行われている一方、この約10年間にわたってほぼ「そのままの状態だった」というのが名刺をスキャンするための「スキャナー」だ。さらによい顧客体験を提供するためには、スキャナーが顧客に届くところから体験を設計するべき。そう考え、スキャナーのアップデートを行うべく立ち上がったのが、Sansanのブランドエクスペリエンスデザイナー、Hanakoさんだ。Hanakoさんは、感じていた課題を改善するべく、スキャナーをどのようにリニューアルしたのだろうか。その裏側を聞いた。

クリエイターの横断組織を編成 オリジナルビールも「出会いのひとつ」

――まず、Hanakoさんのご担当業務について教えてください。

私はブランドコミュニケーション部で、社内のブランディングのクリエイティブを担当しています。コーポレートブランディングや、イベントの企画、ノベルティ、オフィスのデザインなど、ブランディングに関するすべてに携わっています。

並行して、社内のクリエイター横断組織「Juice」の企画室長をつとめています。Sansanには、それぞれの事業部にクリエイターが配属されており、日々の業務範囲内だけでは部門をまたいで交流をする機会は少ないのが現状でした。ですが、クリエイター同士で知見を共有することでプロジェクトがスピーディーに動くケースもあると考え、部門横断的なクリエイティブの組織を作ることにしました。

Sansanのデザイナーは、ブランディングやマーケティングなど、それぞれ違った領域のプロが集まっているので、目指している方向は一緒でも、考えかたや方法が違うこともあります。そのため、一緒にモノづくりをするとさまざまな視点に触れることができ、それが刺激になるんですよね。

週に3時間を目安に業務時間内で活動をするのですが、クリエイターの視点から、ブランディングや社員のエンゲージメントにつながるプロジェクトの起案、プロトタイプ制作などを行っています。そこで良いものは、どんどん正式に取り入れていくんです。

Sansanのノベルティのひとつに、オリジナルのビールがあるのですが、これもクリエイター発案で作られました。「2種類の酵母をかけ合わせたら、これもひとつの『出会い』だよね」という感じで(笑)、わざわざ八王子のブルワリーまで行ったんですよ。ラベルのデザインだけでなく、中身もオリジナルで考えたレシピなんです。

こういった取り組みは通常の業務からはなかなか生まれにくい。違ったマインドのクリエイターがコラボレーションすることでアイディアが活性化していくのは、とてもおもしろいです。

コンセプトやラベル、レシピまでJuiceのメンバーが開発をしたオリジナルクラフトビール。
コンセプトやラベル、レシピまでJuiceのメンバーが開発をしたオリジナルクラフトビール。

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