ヘイ株式会社 People Experience デザイナー、瀧野です。
第3回となる今回の記事では、オンラインワークショップ当日の具体的な内容と運営方法、またその失敗談を紹介します。第1回の記事にあるように、heyではバリューを「ボトムアップ型」で策定プロセスからメンバーを巻き込む方法で作りあげました。これから全社員を巻き込んだバリュー策定や、大規模のオンラインワークショップを企画・運営する方のヒントになれば嬉しいです。
ワークプロセスの内容と設計のポイント
まずは、ワークショップのプログラムの内容と設計する際のポイントを紹介します。全社でバリューについて意見を出し合いブラッシュアップしていくプロセスまで含め、2週間にわたるプログラムを実施しました。次の図はオンラインワークショップの全体像です。
「過去」「現在」から「未来」を考えるワークプロセス
heyは3つの会社が統合し、新メンバーが多くいる組織。当時の社員の約3割が入社1年未満でした。さまざまのバックグラウンドと役割を持つメンバー同士で「これから」を考えるには、互いに「これまで」何を大切にしてきたかの相互理解が重要です。そこで、DAY1ではインプットコンテンツや対話を通じて「これまで」と「今」大切にしてきたことを言語化し、それを踏まえ、DAY2で「これから」のありたい姿をみんなで考えるプロセスにしました。
チームワークのパートは全社同時に行わず、分割して進行
運営上考慮した点は、チームワークを実施するプログラムの一部で参加者を大きく3つに分けて進行したこと。(上記図のDAY1とDAY2にある[だるま] ・[まねきねこ]・[くまで]はグループの名前です)。運営チームは同じプログラムを1日3回実施することになり、ややコストは高めです。ただ、約320人同時に行うと運営コントロールがしづらいのではないか、メンバーによっては業務や家庭の都合上参加できない時間帯がある、といった理由でグループを分けることにしました。
具体的には計42チームを3グループに分け、経営陣もいちメンバーとして全ワークに参加しました。
- 5~6名/1チーム
- 17〜18チーム/1グループ
いざワークを実施してみると、最初のグループの運営で「もっとこうしたら良かった」という事案が多々発生。次のグループのワークが始まるまでに運営メンバーで話し合い、改善点を次のグループに活かすことで、徐々に運営をスムーズにすることができました。そういった点でも、同時に行わず分割した進行は良かったと思います。
DAY3の「これから実践することを考える」のプログラムでは、会社全体で「浸透フェーズDAY1」としての一体感をつくるため、全社員同時にワークを実施しました。
[インプット→アウトプット]の流れで[知る→対話]を繰り返す設計に
DAY1からDAY3のワークの詳細とタイムラインはの図のとおり実施。メンバーは1日2時間のプログラムに3回参加します。
限られた時間の中でアウトプットを出すには、質の良いインプットが大切です。今回はチームワークに入る前に、毎回その日に考えるテーマに沿ったインプットコンテンツを用意。コンテンツはスライド資料などではなく、できるだけ映像にすることで参加者の関心を寄せられるものにしました。経営陣やメンバーが出演する動画によって、参加者同士のSlackチャットが盛り上がり、ワーク前に場を温めるケースにも効果的でした。
ここからはインプットコンテンツの内容を一部ご紹介します。
DAY2冒頭では経営メッセージとして、VP of PXから改めて今回のワークショップの目的と、経営視点でこれから大切にしていきたいことを共有しました。
オープニングや休憩時間もコンセプトが伝わる映像でワクワクと一体感を
ワークショップは「盛り上げ」も大切となるため、オープニングムービーと休憩時間とで同じキービジュアルを使った動画を制作し、ワークショップ中に配信しました。ことあるごとに今回のビジュアルを使ったクリエイティブでテンションを高めたり、コンセプトである「オールスター」を感じてもらえるようにしたりしました。
参加メンバーからコメンテーターを用意 ワークショップにインタラクティブ性を
少人数のワークショップであれば、参加者からの意見や感想を都度シェアすることができますが、大人数かつオンラインでは発言の難易度が上がり、司会の一方通行になってしまいがちです。今回、「進行する人」対「参加者」の構図(ただ聞くだけ)にならないようにするための工夫として、参加者の中からコメンテーターをあらかじめアサインし、冒頭や締めなどにコメントをいただくようにしました。コメンテーターに参加者代表として感じたことを共有してもらうことで、参加メンバーの共感を生み、参加意識を高められたのではないかと思います。