会話を重視した「Threads」はどう使う? その特徴や活用のヒントをSNSマーケのプロに聞く

会話を重視した「Threads」はどう使う? その特徴や活用のヒントをSNSマーケのプロに聞く
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2023/07/27 08:00

 昨今、Twitterの急進的な舵取りが危惧され、代替となるSNSをユーザーが模索している風潮がある。ここぞと分散型の思想や設計をうたう新興SNSにスポットライトが当たるなか、日本時間の7月6日に、Metaが新たなテキストベースのSNS「Threads(スレッズ)」の提供を開始。同サービスは提供開始から5日で登録者数が1億人を超えるなど、急速な伸びを見せている。そんなThreadsと、企業やクリエイターはどのように向き合えば良いのだろう。SNSマーケティングを支援するホットリンクの北原一輝さん、富井真歩さんにその基本や活用のヒントについて話を聞いた。

Threadsは会話に秀でたメディア InstagramのDM強化の流れも影響か

――まずはThreadsの特徴についてお聞かせください。

富井 現在は、フォローしている人と、フォロワーという関係性がとくに重視されている、つまりプライベートグラフ(ビジネスのつながりではない、私的な人間関係)における会話に秀いでているメディアと言えるでしょう。また、オススメとして登場する投稿などを見ても、会話が弾んでいる投稿がピックアップされやすい傾向を感じることから、会話が重視されていることも伺えます。

ちなみにこれまでInstagramでは、「リール」や「レコメンド」機能が強化される傾向が続いていました。また直近で登場した「一斉配信チャンネル」なども、DMに近い形で配信することで投稿を活性化させていくという方向性の表れだと感じています。たとえば、ひと昔前のInstagramは友人や知人とつながるための場でしたが、最近ではさまざまな機能が追加され、ひとつのアプリでできることがとても増えました。今ではInstagramのDMの中で友人や知人と会話することも珍しくありません。こうしたDMの活用強化は、Threadsの提供開始に通ずる部分もあるように思います。

出典:Meta Newsroom
出典:Meta Newsroom

Threadsがリリースされたタイミングから、Twitterに対抗するサービスとして比較されるケースもありますが、個人的にはTwitterの動きを見てからローンチしているとはあまり考えていません。実際に今年の3月ごろには「会話を重視した新しいメディアができるかもしれない」というリークに近い話も挙がっていたため、実際はローンチのタイミングを微調整したくらいなのではないかと想像しています。

――実際にThreadsを活用し、どのような印象を持ちましたか?また注目している点があれば教えてください。

富井 オープンなDMという印象が強かったです。Instagramでは投稿せずに見るだけだった人たちも、Threadsはダウンロードして試しているように思います。また個人的に好きなインフルエンサーの投稿を見ていると、Instagramではきれいなビジュアルや作りこんだ投稿をし、載せきれなかった画像をThreadsにアップするといった使いかたをしており、とても上手いなと感じています。Instagramのストーリーズではどうしても24時間で投稿が消えてしまうため、おこぼれカットや裏話がThreadsで投稿されているのは、ひとりのファンとしてもとても楽しめました。

一方SNSマーケティングの視点では、Threadsが登場したことで一時的にほかのメディアの可処分時間が奪われているだろうという話が社内であがりました。また気になっているのは、どのような人たちがThreadsの中心になっていくのか。Twitterが主流の人はTwitterの作法で投稿していますし、Instagramをよく活用している人は映えるようなきれいな写真をアップしていたりします。これからどのような投稿が主流になっていくのかとても興味深いです。

活用する際に有効なInstagramとの掛け合わせ

――企業がThreadsを活用する場合のポイントはありますか?

富井 私たちも企業さまに向けてアカウント開設のご案内を始めています。ただ現状では、一歩踏み出している企業さまでもまだまだ上手い使いかたがわからないという状況です。様子を見ているケースも多いですね。

Threadsは、Instagramへの遷移に優れているメディアです。たとえばすでに運用を始めている企業さまでは、レシピの内容や商品完成画像などをThreadsに掲載し、「詳細の作りかたは動画で」とリールへ遷移させているケースもあります。また会話を重視しているメディアのため、フォロワーに寄り添い、日頃からSNS上で積極的にコミュニケーションをとっている担当者であれば、Threadsも使いこなせるのではないかと思います。

株式会社ホットリンク コンサルティング本部 コンサルティング部 富井真歩さん
株式会社ホットリンク コンサルティング本部 コンサルティング部 富井真歩さん

レシピのように、ビジュアルで訴求するのはInstagramが得意な領域です。一方、そこからより深いテキストベースのコミュニケーションでユーザーと企業を近づけるような部分は、Threadsが向いているかもしれません。「どういう投稿を見たいですか?」「新商品が出たけれどなにか質問ありますか?」といった会話をユーザーと行うのも良いでしょう。たとえば美術手帖さんは、フォロワーからオススメの美術館を教えてほしい旨を投稿で呼びかけ、コメント欄に集まったオススメの美術館を再投稿していました。とても上手な活用の仕方だなと感じています。

ただし今はまだ、どういった使いかたがThreadsの勝ち筋であるかを模索している段階のため、断言しがたい部分が多いのも正直なところです。

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