[I.C.E.セミナーレポ]ロールモデルは必要? 3名のクリエイターが語ったキャリアを考えるうえで大切なこと

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2023/09/28 08:00

キャリアを考えるクリエイターへのメッセ―ジ

鍜治屋敷 頼んでくれる人がいて、それに対して何かをつくり、喜んでもらうことが仕事だと考えているため、目の前の仕事に向き合うことが唯一のやるべきことだと思っています。逆に、「これは誰が喜んでいるんだろう」と感じる仕事はやめたほうが良い。

目の前の仕事に誰が関わっていて、その先にどんな人がいるのかを考えながら全力でやっていくうちに、周りの人たちが良い方向に流していってくれ、なぜか自分のやりたいところにもたどり着いている。目の前の仕事に全力を出すということだけを意識して取り組んでいたら、自然と良い方向にいけたような感覚がありますね。

萩原 個人的には、ロールモデルは必要なくなるくらいのほうが良いんじゃないかと思っていますし、いろいろなことをやってきた先にオリジナリティが生まれるのではないかと感じています。

リクルート マーケティング室 クリエイティブディレクター 萩原幸也さん
リクルート マーケティング室 クリエイティブディレクター 萩原幸也さん(画像提供:一般社団法人I.C.E.)

以前先輩が、「同じ業界で1万時間働いたら100分の1の人材になれる」と言っていました。裏を返せば、それくらい取り組まないと一流になれないということになります。ただ、それをふたつ掛け合わせれば100×100に対する1の人材になることができるし、いろいろなキャリアにシフトしながら極めていくほうが最終的に貴重な人材になれる、とも言っていました。

そんな人材になることを目指そうと思ったら、ロールモデルはいないはず。「もっと自分のキャリアをオリジナルなものにしていこう」「それが自分の幸せにつながっているのか」。そんなことを考えていくのが良いのではないでしょうか。

木本 今31歳の私は、長生きしてもあと60年くらい。それってなんて短いんだろうと最近思うんです。私は毎日死を意識しているのですが、明日死ぬとしたら今これで良いのだろうかということもよく考えます。

そんなふうに「死ぬ」ことを前提に考えてみると、つまらない仕事に8時間費やすことは、8時間寿命が縮んだことと同じだと思うんです。だからこそ「この先今取り組んでいることで寿命を縮めても良いか」を問うてもらいたいなと。もしそれで「今日の8時間、これで良かったのかな」と疑問に思うのであればなにかを変えたほうが良い。それは転職だけを指しているのではなく、環境や仕事の仕方など変えるための方法はいろいろあると思うのですが、「自分の人生が死に向かっているなかで何をしたいのか」は考えたほうが良いのではないでしょうか。

画像提供:一般社団法人I.C.E.

私はそれを考えた末、自分が人生の中で深めたい興味分野の仕事だけを引き受けるようにしました。そうすると、自分の人生のテーマとクライアントワークがニアリーイコールになってきてとてもおもしろい。自分が人生で探求したいことでお金を稼げるようになるというのが、いちばん健全な状態なのではないかと私は思うんです。

それにキャリアは人生でもある。だからこそ、自分は人生で何を成し遂げたいかを考えていかなければいけないと思っています。