Fjord 共同創業者兼代表のオロフ氏
「もっと広義なデザインを行っていきたい」
――Fjord初となる日本の拠点「Fjord Tokyo」を開設されましたが、日本のクリエイティブにはどのような印象を持っていますか?
オロフ氏 私は日本に来るのがまだ3回めなので、表層的な部分しか理解できていないかもしれませんが、日本のクリエイティブというものはとても刺激的で魅力的なものだと感じています。文化や伝統に深く根ざしていると思う一方、もっと広義なデザイン、社会のシステムや社会の構造そのものをデザインしたり、ビジネスのありかたを変えるといった、もっと広義なデザインを行っていきたいと考えています。
――今後日本で取り組んでいきたいことについて、具体的に教えていただけますか?
オロフ氏 世界の時価総額ランキングやブランド価値ランキングをみても、トップ10はテクノロジーカンパニーが占めていますよね。日本の技術力は、今も昔も高いと思っていますが、そこに日本企業がランクインしていないことがとても不思議です。Fjordとしては、そこに日本企業を押し上げたいですね。
どのように取り組んでいくかについては、たとえば日本企業は技術や機能単位では優れているものを持っているけれど、それを人々の生活に自然に組み込んだり、体験として提供する部分にまだまだ余地があるように思うので、そこに入り込んでいきたいと考えています。
フィヨルドが行う3つのデザインとは
イベントに登場したFjord 共同創業者兼代表のオロフ・シューバースンさんはまず、フィヨルドは広義の意味で3つのデザインを行っていると説明。
「まずBrand & Experience Strategy。我々は、戦略的デザインと呼んでいます。これは、企業が次に向かうべき方向はどこなのか、いわゆる北極星となるビジョンを策定することです。ブランドが何を大事にしているのか、どんなことのためにそのブランドが社会に存在するのかなどを定義し、そのために企業文化を変えるところまで含めて行っています。
その北極星となるものがわかったら、それを具現化するサービスを作っていくことが、Design &Creationです。さらにサービスを作って終わりではなく、継続的に改善したり、ひとつのタッチポイントではなく、顧客とのさまざまな接点で一貫した体験が提供できているか、ブランドのエクスペリエンスを届けられているかというところまで、ウォッチしています。これがBrand Experience Deliveryです」
Fjordは2001年にロンドンで創業されたデザインスタジオで、2013年にアクセンチュア インタラクティブ グループに加わった。今回開設された東京が33拠点目となり、1,200人以上のデザイナーが所属している。
どこの国でも共通しているデザイナーのパッションは「自分の国の生活を豊かにしたいという思い」だとオロフさん。
「我々は自分たちでサービスを作るだけでなく、クライアント企業にサービスを提供しているので、各国の最前線で仕事をしている人たちと常につながっていて、アメリカではこうだよ、ヨーロッパではこんな感じだよということを日々シェアしながら、じゃあそれをかけあわせてもっと良いものを作ろうと日々コラボレーションしています。
もうひとつ共通しているのは、人々の生活にインパクトを与えるということへのこだわり。なにかサービスをデザインして終わりではなくて、成果としてインパクトを出せたかを追求しています。アクセンチュアのグループにいることによって、それがよりしっかりと実行できていると感じています」