こんにちは、SmartHR プロダクトデザイングループのますぴー(@masuP9)こと桝田です。いよいよこの連載も最終回となりました。
- 第1回:大量データとパフォーマンスを見据えたインターフェースの設計
- 第2回:ツールが効率を阻害してはいけない デザイナーも気をつけるべき、業務アプリケーション改修3つのワナ
- 第3回:思いこみでユーザーの行動を判断しないために UIの品質を裏付けるユーザビリティテストとは」
- 第4回:これからは社会背景や文脈の考慮も デザインの効率化を進めるための「命名」とは
- 第5回:ユーザーはデザイナーだけではない 「ユーザー」と「目的」からはじめる業務アプリのデザインシステム
- 第6回:プロダクトデザイナーは新規事業開発にどう関わっているのか 実例から具体的な動きかたを徹底解説
- 第7回:スクラム開発における理想のプロダクトデザイナーとは PdMが期待する役割とそのための行動を解説
これまで我々プロダクトデザイングループのデザインアプローチをお伝えしてきましたが、最後にだれもが使えるUIをデザインするための「アクセシビリティ」についてお話します。
アクセシビリティ、誰もが使えることの意味
アクセシビリティという言葉、デザインに携わっている方であればどこかで目や耳にされたことがあるのではないでしょうか。
アクセシビリティは「access」+「ability」のふたつの単語の組み合わせで、言葉のとおり、アクセスのしやすさを表します。ことウェブにおいては、情報やサービスへのアクセスのしやすさという意味で使われます。
ご存知の方の中にはアクセシビリティを「障害を持つ人でも使えるようにすること」と理解されている方もいらっしゃるかもしれません。
もちろんアクセシビリティにおいて障害を持つ方が使えるようにすることは非常に重要ですが、役割はそれに限りません。アクセシビリティは障害の有無だけでなく、環境や能力を問わず情報やサービスにアクセスできること、を意味します。
たとえばみなさん、次のような経験はありますか?
- ウェブサービスをスマートフォンから閲覧したら、画面レイアウトがスマートフォンに最適化されておらず利用を諦めた。
- 屋外でウェブページを閲覧するとき、日差しが画面に反射して薄い色の文字が読めず情報を得られなかった。
- 電車の中などの音が出せない環境で、イヤホンを忘れ動画の音声を聞くことができなかった。
そのようなとき、さまざまなデバイスに対応したレイアウトになっていれば、文字の色と背景の色に高いコントラストがあれば、音声コンテンツの代替として字幕があれば……。情報やサービスにアクセスできていたはずです。
アクセシビリティは障害を持つ人にのみ意味があることではなく、すべての人にとって意味があります。そして障害を持つ人が使えるように「対応」することではなく、すべての人が使える可能性を「高める」ことなのです。