社会の非合理を生み出さないために――誰もが使えるUIをデザインするアクセシビリティとは

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 株式会社SmartHRのプロダクトデザイングループが、人事労務領域を扱うソフトウェア「SmartHR」開発で培った知識と経験を活かし、業務アプリケーションにおけるデザインアプローチの考えかたをお伝えしてきます。最終回となる第8回は「アクセシビリティ」についてです。

 こんにちは、SmartHR プロダクトデザイングループのますぴー(@masuP9)こと桝田です。いよいよこの連載も最終回となりました。

 これまで我々プロダクトデザイングループのデザインアプローチをお伝えしてきましたが、最後にだれもが使えるUIをデザインするための「アクセシビリティ」についてお話します。

アクセシビリティ、誰もが使えることの意味

 アクセシビリティという言葉、デザインに携わっている方であればどこかで目や耳にされたことがあるのではないでしょうか。

 アクセシビリティは「access」+「ability」のふたつの単語の組み合わせで、言葉のとおり、アクセスのしやすさを表します。ことウェブにおいては、情報やサービスへのアクセスのしやすさという意味で使われます。

 ご存知の方の中にはアクセシビリティを「障害を持つ人でも使えるようにすること」と理解されている方もいらっしゃるかもしれません。

 もちろんアクセシビリティにおいて障害を持つ方が使えるようにすることは非常に重要ですが、役割はそれに限りません。アクセシビリティは障害の有無だけでなく、環境や能力を問わず情報やサービスにアクセスできること、を意味します。

 たとえばみなさん、次のような経験はありますか?

  • ウェブサービスをスマートフォンから閲覧したら、画面レイアウトがスマートフォンに最適化されておらず利用を諦めた。
  • 屋外でウェブページを閲覧するとき、日差しが画面に反射して薄い色の文字が読めず情報を得られなかった。
  • 電車の中などの音が出せない環境で、イヤホンを忘れ動画の音声を聞くことができなかった。

 そのようなとき、さまざまなデバイスに対応したレイアウトになっていれば、文字の色と背景の色に高いコントラストがあれば、音声コンテンツの代替として字幕があれば……。情報やサービスにアクセスできていたはずです。

 アクセシビリティは障害を持つ人にのみ意味があることではなく、すべての人にとって意味があります。そして障害を持つ人が使えるように「対応」することではなく、すべての人が使える可能性を「高める」ことなのです。

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