体感できる場づくりに注力 創業90周年でニッカウヰスキーが掲げた「生きるを愉しむウイスキー」策定の裏側

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2024/11/01 08:00

海外からのイメージは「イノベーティブなブランド」 国内とのイメージギャップを埋めるために

坂本 コンセプトを策定するにあたりもうひとつヒントになったのが、海外と国内でのブランドイメージのギャップです。友吉がかつて携わっていたグローバルマーケティング&セールスのチームから、海外におけるニッカウヰスキーのイメージは「とてもイノベーティブかつユニークで、モダンなブランド」だと聞いていました。日本では、伝統的、本格的、信頼できるといった印象をお客さまに持っていただいている半面、主力ブランドの「ブラックニッカ」のヒゲのおじさんで、「手ごろな価格のウイスキー」といったイメージが強い。まったく異なっているんですよね。理想に近いのは海外でのイメージであることから、その評価の理由を掘り下げることは、ブランドが目指す方向づけをしていくうえでの良いヒントになりました。

――今後は、そうした国内外のギャップを埋めていくことにも注力されていくのでしょうか。

坂本 まさに今始めているところです。その象徴となるのが表参道に期間限定で展開しているフラッグシップバー「THE NIKKA WHISKY TOKYO」です。

2014年に『マッサン』をきっかけにウイスキーブームが起きて以降、とくにプレミアム以上のラインアップを中心に今もなお需要に対する供給量が少なく、飲みたいけど飲めない状況が続いています。そのため、ニッカウヰスキーの商品を体験できる場所を絶対につくらなければならないと、ずっと考えていました。フラッグシップバーでは、海外で評価されているバーシーンでのニッカウヰスキーの存在感や、ウイスキーカクテルにおけるニッカのユニークさを伝えたいと考えていました。

加藤 フラッグシップバーでは、「ニッカウヰスキーって実はこんなにセンスが良い、かっこいいブランドなんだ」と体感してもらいたいですね。

ニッカウヰスキー株式会社 グローバル事業戦略部 加藤寛康さん
ニッカウヰスキー株式会社 グローバル事業戦略部 加藤寛康さん

あわせて今は、アセットとプラットフォームのすべてを統一したイメージに整えることに着手しています。グローバルアカウントとしてInstagramの運用を1月から開始しましたし、年内には日本語と英語のウェブサイトの世界観やトーン&マナーを統一する予定です。さらに、「生きるを愉しむウイスキー」を体現するブランドムービーづくり、国内でデジタル広告も開始。これをキームービーとして、今後海外展開していくことも検討しています。

「THE NIKKA WHISKY TOKYO」のような場所についても、海外で共通のイメージで提供できるようにしていこうとしています。そうしたバーや免税店などもふくめ、世界のどこのタッチポイントであっても同じ世界観とイメージでニッカウヰスキーブランドが伝わるようにする。90周年を機に、一気に「あるべき姿」へのアップデートを行っています。