良い企画提案書の条件とは
企画提案書の作りかたの説明は以上です。企画提案書が書けたとして、では「良い企画提案書」の条件とは何か。その点を紹介して締めたいと思います。
まずは、意思決定に対して十分な情報が示されているか。企画提案書は道具です。
さらには、相手にとっての利点が示されているか。相手がプロジェクトを実行するメリットが明確に言語化されているか。そのプロジェクトを実施する意義が表現されているか。
そして、内容は簡潔かつ明瞭であるか。情報量としてシャープに絞れているかどうか。言葉の表現としても曖昧なところがないか。解像度を磨いていきます。
こちらの強みが表現されているか。相手はなぜあなたと仕事をするのか。その理由が示されているか。
そして最後に、相手に発見のある内容になっているか。企画提案書の内容自体が、相手にとって重要な気づきを得られるものとなり、それ単体で価値をまとっていることも重要なことです。企画提案されること自体が、相手にとって価値ある体験になる。目をひらく経験になる。そんなクオリティを目指していきます。
型があると動きが変わる
今回は、企画提案書の基本構成となる「型」をベースに、企画提案書の作りかたを紹介しました。
この記事は、3年前に私がデザイン会社コンセントの社内研修で話した内容をベースにしています。若手を中心に企画提案書に苦手意識が強いメンバーが多かったなかで、あえて「型」を作ることにより、人材育成をしやすく、提案業務を円滑に行う狙いがありました。
効果は絶大でした。企画提案に乗り出す若手がどんどん登場したのです。この記事の対象となる5年目以降のデザイナーの動きも変わりました。「型」を作ることで資料作成のハードルが下がったと同時に、共通の「型」をベースに複数人で作業分担しやすくなったことも大きいです。
今回は、世のデザイナーが、待ちから「攻め」の姿勢に転ずるきっかけになれば何よりであるとの思いで執筆しました。
長らくデザイン産業が受託ベースであったことも関係してか、企画提案は「させていただくもの」になり、なぜかデザイナーが恐縮しながら行うようなものになってしまっています。ですがそもそも、企画提案はお金をもらってするものではない。義務でもない。恐縮して行うものでもない。デザイナー自身がおもしろいと思ってやっていることです。情報をギブしたいから、貢献したいからと自発的に動いているものであり、こちらにオーナーシップがある行動なのです。
デザインの世界全体で、そんな企画提案が沸騰することを願って。