「体制」や「費用見積」
企画提案書の基本構成の「体制」と「費用見積」についてです。
「体制」ページは、相手から見たこちらの窓口対応者をわかるようにすること。さらにメンバーのプロフィールを記載して、デザイナーのロールやスキルを参照しやすくします。
「費用見積」ページは、主にデザインエージェンシーの企画提案書に必要なもの。自社の考えかたや基準に沿って費用見積を記載、もしくは別で添付します。
見積もりは、提案する段階によって精度を調整して提案。「超概算見積(精度−50%〜+100%)」、「概算見積(精度−25%から+50%)、「見積(正式見積)(精度100%)」の3段階です。施策があいまいなフェーズでは、超概算見積で提案し、相手と活動内容を詰めていきながら徐々に精度を上げていくようにしましょう。
また、「費用見積」に対して責任範囲を限定する情報があれば、「免責事項」ページを設けて説明をくわえます。出張費用・調査費用・ソフトウェア費用・材料費など、別で請求が必要なものも記載。プロジェクトスコープや期間が変動した場合の条件についても、記載があると安心です。
事業会社内のデザイン組織では、費用の言及がないことも多いかと思います。その場合では、参考情報として、デザイナーの稼働だけでも記載しておくと良いでしょう。「稼働以上は動きません」という意思表示ではなく、相互の「認識」と「期待値」を合わせるために必要なものです。
デザイナーは品質追求の姿勢が強く、ときには稼働を気にせず動きがちなものです。その傾向から、相手も無尽蔵に依頼や指示を重ねることもあります。そういった状況を防ぐためにも、稼働を明示しておくことをオススメします。
「付録」ページで情報量をコントロール
最後に「付録」ページを設けます。
付録ページは「読まなくても問題がないページ」です。重要度の低い参考情報を付録ページに入れていきます。企画提案するプロジェクトに類似する過去の実績、個々のデザインタスクの詳細説明などが該当するでしょう。
企画提案書は「読むもの」ではなく「使うもの」と言いました。すべてのビジネスパーソンは忙しいため、なるべく短時間で理解できる企画提案書が正義です。私は積極的にこの付録ページに情報を押し込んでいき、キーパーソンを含む提案相手の利便性を上げるようにしています。
企画提案書の冒頭「自組織の紹介」ページも、相手によっては付録に収録します。相手がこちらのことをよく知っている場合では、冒頭に自己紹介する必要はありません。その場合は付録にまとめても問題ないでしょう。
「付録」ページの後には「挨拶」のページを。ここは、企画提案の終了を示すことが第一義ですが、場合によっては「いつまでに意思決定してほしい」などの条件を示すこともあります。(その条件づけがとくに重要なケースは、資料の冒頭に示す場合もあります)
その企画提案書が、20分で話せるものであるか
これでいったんは、企画提案書が完成です。しかし、作業はこれで終わりではありません。
企画提案書が完成したら、誤字脱字をチェックしながら、あらためてキーパーソンの顕在・潜在ニーズに合致する内容かを確認します。その際は、自分にキーパーソンを憑依させて通読しましょう。
くわえて、その企画提案書を使ってプレゼンテーションをしてみます。実際の企画提案の場は、全体で1時間ほど行うことが通例だと考えると、前後の挨拶やディスカッションをふくめ、企画提案の説明は長くとも20分ほどが現実的です。20分で説明して違和感のない企画提案書になっているか。話した上で情報の過不足がないかを点検していきます。(さらに言うと、提案内容の要点を数十秒で言えるレベルまで、言いたいことが明確になっているとなお良いものです)。
特別な条件がある企画提案以外は、最初から「20分で説明しきれる企画提案書」を作るべきという考えかたもできるでしょう。20分で説明しきれない部分は、最初から資料に入れないという割り切りです。企画提案書は書こうと思えばいくらでも書けてしまうもの。私個人としては、長くとも20分で説明しきれる情報量に留めるようにしています。