鹿児島藍さんは、大学在学時には現代美術を専攻。前職はウェブサイトの制作会社でデザイナーとして勤務し、ほぼ独学で業務の知識を身に付けた。2015年にコンセントへ入社した当初は、ウェブデザイナーとして企業のウェブページやLPなどを制作するチームに所属。現在はウェブにとどまらず、企業ブランドのためのストーリー構築やビジョンデザインを行う部署で、制作物の世界観やクオリティを担保するアートディレクターとして活躍している。
コンセントは都内や沖縄などにオフィスを構えており、以前よりセキュリティ面の対策とあわせてリモートワークを併用する従業員も多かったが、4月の新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の発令に先駆け、原則在宅勤務に。解除された5月末ごろから多くの従業員は出勤も織りまぜた働きかたを選択するようになった。鹿児島さんは9月現在、新入社員の指導にあたるときや、紙媒体のデザインを原寸出力で確認したいとき、撮影前の準備などで、週に2〜3回程度オフィスで働くスタイルをとっている。
試行錯誤を重ねたリモートワーク初期
在宅勤務が始まった4月ごろ、オフィスとは違う作業環境に鹿児島さんは戸惑った。最初の約1ヵ月は13型のノートPC1台で業務にあたっていたが、画面上で参考資料などを確認するのと同じ画面で、それらをデザインに反映したり、修正前と新しいデザインとを見比べながらデザイナーへの修正指示を書きこむといった普段行っている作業は、今まで以上に時間がかかりとても苦労したという。
デザイン作業終盤の細かな修正は、より正確さが求められる分、さらに時間を要したそうだ。オフィスでは、修正箇所が記載されているものとそれを反映したデザインをプリンターで出力し、修正に漏れがないかをペンでチェックしながら作業を進めていた。だが鹿児島さんの自宅にはプリンターがなく、同じような手順で行うことができなかったのだ。
「ノートPC1台で作業するために試行錯誤しましたが、修正指示を参照する画面と、デザインツールの画面とを切り替えながら目視でチェックしていくのはとても作業がしづらかった。AdobeのlnDesignやPhotoshopの表示も、メニューやツールバーを表示すると誌面レイアウトが隠れてしまい全体像が見れないので、ツールバーを閉じたり開いたりしながら業務を進めたりと、効率が悪かったです」