注目していたVTuberファンの熱量
――まずは、ご担当業務とこれまで行ってきた施策について教えてください。
マーケティング本部の中でコミュニケーション施策の企画立案・運用を実施しており、私はぽん酢のカテゴリー(「味ぽん」や「かおりの蔵」などのブランド)の施策を担当しています。
来年で60周年を迎える味ぽんでは、テレビCMはもちろん、直近ではデジタルの施策など、これまでにさまざまな取り組みを行ってきました。そのなかで、テレビを視聴する人がだんだん減ってきていたり、ブランドから一方的に発信する広告は態度変容を促せなくなってきていると実感しています。そのため最近では私たちに代わって第三者の方にわかりやすくお話いただいたり、社員ではない視点から商品の魅力について伝えてもらうことを意識した施策にも力を入れています。Twitter、Instagram、TikTok、YouTubeといったプラットフォームでの取り組みはひととおり行ってきました。
――今回なぜ、味ぽんでVTuberを起用した取り組みを行うことになったのでしょうか。
VTuberの存在はもちろん、視聴者の方の熱量が高いことやライバーさんとファンの一体感などは知っており、とても興味はもっていました。
ひと昔前は「お母さんが家にいて毎日食事をつくる」というスタイルが一般的だったかと思いますがそれも今では当たり前の光景ではなくなるなど、調味料がおかれている環境は大きく変わってきています。味ぽんも、この60年で「鍋のときに使うもの」から訴求するポイントは調整しているものの、やはり年配の方に支えられているブランドです。
ただ味ぽんというブランドの認知度で言うと年代問わず高いのですが、とくに若年層は「知っているけれど買ったことはない」方が多い。この部分は、ブランドとしても課題に感じていました。
そのため、若い人たちに調味料を身近に感じてもらったり、「自分のためのものだ」と思ってもらえたりする施策のアイディアは、SNSなどで日頃からリサーチしていました。そのひとつとして第三者の方に語ってもらうことを考えたときに、私もVTuberさんに詳しいわけではないながら、世の中の注目を集める何かがあることはSNS上でも垣間見えたため、VTuberの方にお願いしてみるのはどうだろうかと考えたのが最初のきっかけです。
――そのなかで、にじさんじさんを起用するに至った理由をお聞かせください。
VTuberさんに限らずですが、第三者の方に伝えてもらうときに何より大切なのは「ご本人の熱量」。味ぽんのことを知らない方が魅力を伝えるのはとても難しいと思ったため、味ぽんと絡めることができそうな過去の発言や投稿などを、外部パートナーさんと協力しながら探っていました。
今回第1弾で起用させていただいた皆さんは「SMC組」という、ミツカンとも親和性が高いユニット名だったことが最初の取っ掛かりでした。ユニットの名前があってのことだとも思いますが、皆さんの過去の発言でも食べ物を話題にされることも多かったことも、起用のひとつの理由です。
またSMC組と一緒にアサインさせてもらったソフィア・ヴァレンタインさんは、過去にぽん酢を「ちょっと大人の味だと思う」と表現されていた配信がありました。ご自身は「お鍋にも使うくらい、たくさんめんつゆを使っている」といった趣旨の言葉があったため、その文脈を活かせればと思い、打診させていただきました。