成功の理由は「ワンチームになれたから」 日商エレクトロニクスとA.C.O.がブランド開発を振り返る

成功の理由は「ワンチームになれたから」 日商エレクトロニクスとA.C.O.がブランド開発を振り返る
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2020/09/30 11:00

 企業の規模や業種にかかわらず、サービス開発からブランディング、アプリやウェブのデザイン制作など、幅広い案件に携わるデザインコンサルティングファーム「A.C.O.」。発注側と受注側という関係ではなく、クライアントとひとつのチームになってプロジェクトを進めていく点がひとつの特徴だ。その好例ともいえるのが、ICTソリューション、ネットワークなどの事業を展開し、企業のDX推進をサポートしている日商エレクトロニクスが、8つの事業の統一ブランド開発に取り組んだプロジェクトだろう。今回は、およそ5ヵ月にわたるブランド開発の過程で得た気づきや心がけていたことを、本プロジェクトに関わった3人に振り返ってもらった。話を聞いたのは、日商エレクトロニクスの長谷川健さん、A.C.O.のUXディレクター・川北奈津さん、同社のアートディレクター・沖山直子さんの3人だ。

サイト制作の依頼がブランド開発へ発展 いちばんの決め手は「ロジカルさ」

――まずは皆さんのご担当業務を教えていただけますか?

長谷川 日商エレクトロニクス(以下、日商)は、情報通信設備、IT基盤をはじめとする国内外のソリューション提供やそのシステム構築、保守、運用、監視などのサービスを提供しています。そのなかで私は、アプリケーションソフトウェアの企画と開発の責任者をつとめており、今回のプロジェクトでもオーナーの役割を担いました。

沖山 A.C.O.は、モンスター・ラボグループの中で、デザインを専門業務としているデザインコンサルファームです。そこで私は、ブランドやサービスの世界観を作るアートディレクションから、UXを重視したUIデザインといった、目に見えるアウトプットに携わるチームのマネージャーを担いつつ、自身もアートディレクターとして案件に入り、クリエイティブの提案などを行っています。

川北 UXデザインと情報設計を強化するため専門チーム、UX/IA部のマネージャーをつとめています。私自身はもともと情報設計が業務の中心でしたが、そこからUXの領域についても学んでいきました。現在はUXディレクターとして、プロジェクト全体をゴールに導くためにプロセスから設計をし、ディレクションを行っています。

――今回のブランド開発では、どのような経緯でA.C.O.へ依頼することを決めたのですか?

長谷川 当初は、自社のブランディングを依頼する予定はありませんでした。前提として、お客さまがオフィスのパソコンで使うようなアプリケーションの開発を行うなかで、ある時代の変化を感じていました。これからは企業向けのみならず、その先にいる消費者にもご利用いただけるBtoBtoCのアプリケーションまでをも担うことができないと、生き残ることは難しいだろうという考えを持っていました。

そこで、8つの事業がもつアプリケーションをひとつのブランドとして統合しようと考えたのですが、BtoBtoCまで領域を広げていくのならとくにUIやUXが重要だという思いから、一緒に進めることができるパートナー企業を探すことにしました。その際に紹介を受けたのが、A.C.O.の親会社であるモンスター・ラボです。

日商エレクトロニクス株式会社 エンタープライズ事業本部 アプリケーション企画開発部 部長 長谷川健さん
日商エレクトロニクス株式会社 エンタープライズ事業本部 アプリケーション企画開発部 部長 長谷川健さん

モンスター・ラボへの依頼内容として当初想定していたのは、統合後のアプリケーションビジネスに関するサイトの制作でしたが、最初はイシューとなる課題や問題点がなかなか定まらず、お互い話していく中で、まずはブランドを確立することなのではないかという話に行き着きました。そこでモンスター・ラボから紹介していただいたのが、A.C.O.のプロジェクトチームでした。

ほかの企業さんとも比較させていただいたのですが、いちばんの決め手はロジカルさです。私の勝手な思いこみで大変恐縮ですが、クリエイターの方から論理的な説明をいただけるとは思っていませんでした。しかし、A.C.O.さんは筋道を立てて話をしてくれた。私たちも、ロジカルに考えるトレーニングを長年受けてきましたから、A.C.O.さんのお話はすんなりと理解することができました。それが、一緒に進めていきたいと思った大きな理由です。