A.C.O.には「多様な案件で得た知見を次の現場で試せる」環境がある
では具体的にどのように組み立てていくのか。A.C.O.ではまず、クライアントに「辿るべきプロセス」を提示する。
「そのプロセスは、共感と課題定義、発想と仮説立て、調査と分析、作成と検証といった4段階に大別されています。事業の状況に合わせてどうアプローチしていくかの調整をすることはあるものの、大まかな流れは変わりません」
そう説明するのは、デザインプログラムマネジメントを実践するCXOの津山拓郎さんだ。
「まずは、顧客の事業にどんなミッションがあり、それを考えた事業に関わる人と社内文化はどうか、この事業ではどういった顧客に届いてほしいと考えているのか、それはなぜか――。根幹となる情報をまずは探っていき、クライアントが当初想定していた市場と顧客ターゲットや規模が合っているのか、市場調査と分析を通じて、着手すべきことを定義していきます」(津山さん)
そこからアイディアを出し、仮説を組み立てたのち、それが真にユーザーが求めるものなのかを調査で確認。その結果を分析したうえで、製品やサービスを発想して作っていく。デザインと開発、それぞれのサイクルを回し、かつ双方の間を行き来しながらプロジェクトは進められていく。製品やサービスをリリースしたあともユーザーの声をもとに、新たに見つかった課題を随時改善し、仮説立てとヒアリングを繰り返す。
「そこで重要なのは、デザイナーもプロジェクトの『全体』に関わっていくことです。たとえばビジネスの仮説立てやユーザー調査の過程においても、ブランド設計を担当するデザイナーがプロジェクトの最初から全体を通して関わるようにすることで、企業や事業としてユーザーに表顕すべき事柄を掴みやすくすることができます」(津山さん)
このように、デザイナーが関わりを求められる領域はどんどん広くなっている。サービスデザイン、ブランド設計、プロダクトデザイン――。A.C.O.に舞い込む案件の規模や業種も多種多様だ。だが「それが醍醐味である」と津山さんは考える。
「いまはデザイナーの役割が広がり、各人が専門領域を越境した活動をする中で、デザイナーはデザインに関わらずさまざまな知識に触れることができますよね。もちろんプロジェクトを成功させるという前提はありますが、A.C.O.ではそうやって得た知識を次の案件で実際に『試す』ことができる。実践で得た方法論を試して組織で振り返っていける環境が整っているのは、A.C.O.の魅力だと言えます」